「DELFを受験しようかな」と思う人にはフランスに住んでいたり、これから住もうという人が多いのではないでしょうか。
そしてB2レベルが視野に入っている人は、語学歴も長いはずなので文化のこともある程度わかっていると思います。
だからこそ、大切なのは敵を知ること。
この場合の「敵」とはもちろん試験問題です。
出題意図を考えた場合、何がどこまでできている必要があるのか?
問題の傾向を知っているだけでも、合格はグッと近づきます。
2020/21年以降の新試験もふまえて、ここではDELF B2 の概要を見てみましょう。
2020/21年からの変更点あり! DELF B2 の特徴と難易度【仏検と比較】
試験の特徴
DELF (DALF) は、フランス国民教育省が認定した唯一の公式フランス語資格で、一度取得すれば無期限有効です。
正確な文法知識が問われる仏検と比較すると、より実践に重きを置いていて、リスニングの試験音声がより速く、分量も多い、またスピーキング(面接)では時間がより長く、作業もより複雑といった特徴があります。
なお、DELF (DALF) の資格そのものは一生有効ですが、日本の奨学金などを応募する場合、その要件に「語学力の証明書は、過去○年以内に取得していること!」と定められていたりするので、必要があれば事前に確認しておきましょう。
また「より高得点を目指したい」などの理由からすでに取得したレベルを再受験するときは、申込み時点で前回の合格資格は取り消されるのでこちらも注意が必要です。
合格点と難易度
DELF B2の場合、配点はリスニング、リーディング、ライティング、スピーキング (面接) それぞれのセクションに25点ずつ。
100点満点のうち、50点とれば「合格」です。
ただし、各セクション(25点満点)で最低5点を取っていることが条件です。
「難易度」については一概に言うのは難しいですが…
各セクションで最低5点はとったうえで(その時点で20点)、残り80点のうち30点をどこかのセクションで取ればいいので、ライティングやリスニングで意識的にポイント(後に書く①〜⑧)を押さえるようにすれば、超難関というわけではないと思います。
学習時間のめやすは、550-650時間。
ただしDELFのB2は実践的な力を問う試験なので、さすがにこのレベルになるとすべて独学では難しいかも知れません。
じっさい、B2の受験者には語学学校である程度勉強したり、フランス人との試験対策を積んでからのぞむ人が多いですし、結果的にその方が独学よりも効率がよいと思います。
DELF B2 受験に向いている人
DELF B2 の受験/取得は、こんな人に向いています。
- フランスの大学で勉強したい人
- フランス政府奨学金を狙っている人
- フランスに長期で住む予定のある人
- 「一生有効」なフランス語資格がほしい人
- 現在、語学学校の B2 クラスで勉強している人
DELF(あるいはDALF)は海外、とくにフランス語圏での能力証明に力を発揮します。
代表的なのはフランス国籍の取得には B1 が要求されるほか、B2 レベルは大学への入学(とくに理系。文系の場合は C1 取得が望ましい)や就職にも役立ちます。
逆に言えば、
- 「ずっと日本で生活しながら、趣味でフランス語を続けたい」
- 「日本企業への就活で、履歴書に資格を書きたい」
- 「資格はほしいけど、スピーキングが苦手すぎる」
という人は必ずしも DELF でなくてもよいでしょう。
仏検準1級でも日本企業への履歴書に書くなら十分ですし、TCFなら口頭試験なしでレベルの証明ができます。
もちろん単純に「受けたい!」と思った人は迷わず申し込むのがよいと思います。
「試験があるんだ」と思って勉強することで、語学力は上がりますしね。
ただし試験そのものの性質として、仏検準1級は、
・幅広い文法知識が問われる
・時事用語を知っている必要がある
・仏文の要約問題で日本語力が問われる
・仏作文では問題の日本語を訳す必要がある
といった違いがあります。
仏検準1級の方が「リスニングの音声速度がゆっくりで、また時間が短い」「スピーキング(面接)時間が短い」という点からも、DELF B2がより実践的な力を試そうとしているのがわかりますね。
ちなみに、TCFでは問題数が多いので次々解いていくスピード感が要求されます。
問題を最後まで解ききれないと、当然レベル判定が下がってしまうので、そういう焦り(?)とも戦う必要がありますね。
DELF B2で要求される能力&ポイントは?
そんなふうに思う人もいるかも知れませんね。
ザックリ、B2 ではどのような能力が求められるのでしょうか。
公式情報では次のようになっています。
B2 の試験を受けるレベルに達しているか、チェックしてみましょう。
- 論点や例を挙げつつ、自分の意見を言える
- 自分の視点に基づき、長所と短所を語ることができる
- 原因と結果を説明できる
- 相手を説得できる
- 間違えた時に自分で修正できる
- メモを取ることができる
- アイデアの言い換えや、またニュアンスの説明ができる
- ニュースの要点を理解できる
なんとなく読んでいると「ふーん」と流しがちですが、じつは大事な情報です。
この基準がそのまま、試験対策の指針になるからです。
たとえば面接試験やライティングでは、
② 自分の視点に基づいて、長所と短所を述べよ
④ 相手を説得せよ(面接官が反対意見を言ったら、根拠を挙げて言い返せ)
⑤ 言い間違えたら自分で修正せよ
ということになりますし、リスニングやリーディングについては、たとえば
⑥ 正確にメモを取れ
⑦ アイデアやニュアンスを理解せよ
⑧ ニュースの要点を理解せよ
と読み変えられます。
とくにスピーキングとライティングでは、上記の点を意識して要素を盛りこめば、はっきりと点数を伸ばすことができます。
(リスニングやリーディングは今後マークシート方式になるので、上の指標はあくまでも目安です。)
なお、具体的な対策については細かく書き出すと長くなってしまうので、別の機会に譲りたいと思います。
いずれにせよ、試験日までに力を伸ばせることを見込んで、あえて自分が思うよりも少し上のレベルを目指してみるのがオススメです。
「締切などがあって絶対に失敗できない」という場合は、「確実に合格できるレベル」と「少し上のレベル」に同時に申し込んでおくのもテですね。
【最新】試験内容の今後の変更点
2020年以降、DELF (DALF) は試験形式の変更を発表していて、主なポイントは次の通りです。
① DELF A2, B1, B2 の聴解と読解試験で、記述式問題がなくなり、選択式問題のみになります。
② DELF B1 の読解試験の時間が10分延長されます(35分から45分になります)。筆記試験の合計時間は1時間55分になります。
③ DALF C1, C2 のテーマの選択がなくなります。引用元はこちら
このうち B2 試験に関わるものは①ですね。
従来のリスニングおよびリーディング試験には、手書きで回答する小問がありました。
今回の変更で手書き回答が廃止され、聴解・読解はすべてマークシート方式になるということです。
もともと簡単な記述だったとはいえ、今回の変更で文字を書く手間が省けますね。
聴くこと・読むことに集中できるぶん、得点しやすくなることが予想されます。
ただし、変更はまだ過渡期にあるため 2020年9月・11月・2021年3月のいずれの試験でも旧形式のままです。
(なお、A2は20年11月の試験から、B1は21年3月の試験から変更済み)。
対策などに大きな変化はないと思いますが、受験を考えている場合は今後の情報に注意しましょう。
日本で受験する場合は、上記の引用元の「お知らせ」から確認できます。
まとめ&いま何点とれれば出願すべき?
DELF B2を受けるかで悩んでいる場合、「いま受けて大丈夫なのか」で迷っていることが多いのではないでしょうか。
わたし個人としては「現時点で B2の試験を解いてみて4割程度取れるという状況で、かつ試験までにフランス人ときちんと対策できる」なら受験をおすすめしています。
出願時点で5割取れなくても、試験までに必死に勉強すれば、結果的に力がついてくるパターンが多いです。
とはいえ、B2はすでに「上級」レベルです。
ネイティブとの接点がほとんどない状態で独学するよりも、短期間でも語学学校に通うなどして試験対策をした方が結果的に効率がよいでしょう。
対面、あるいはオンラインで学べるスクールについては、以下の記事でまとめているので参考にしてみてください。
【無料体験あり】オンラインでフランス語を話したいときのオススメを紹介フランス語を話す機会を増やしたい向けの記事です。フランス語を勉強していると「ネイティブと練習したい!」と思うときが来ますね。とはいえ英語と違ってスクールの数[…]
ちなみに、いくらネイティブとの接点があっても、友人や恋人とおしゃべりしているだけではB2対策にはなりません。
相手に手伝ってもらって試験形式に慣れ、かつ審査基準に入っているポイントを稼げるように指導してもらうことを意識しましょう。
DELF B2 に関してさらに詳細が気になる方はこちらの公式ページからご覧ください。
試験の見本も確認することができます(ただし上に書いた通り、近いうちに試験形式が一部変更されることに注意)。
みなさんのステップアップ&B2合格を祈っています!