【英語より楽?】共通テスト2021フランス語の難易度・分析まとめ

フランス語の方が楽? 共通テスト2021の難易度と分析

史上初の共通テスト、そのフランス語がどんな試験だったか、そのポイントをまとめます(あくまで個人的な見解です)。

ひと言でいえば、昨年(センター試験2020)より全体的にはやや難化しましたが、英語ほどではありません

対策にじゅうぶん時間を取れるなら、英語より高得点を狙える可能性が大きくなったという印象です。

共通テスト2022も見据えつつ、詳しく見ていきましょう!


※共通テスト2021の講評はYoutubeでも公開中です! 動画の方が見やすい方はこちらをどうぞ

※また、ふら塾では共通テスト2021の【全問解説】動画も出しています


センター試験からの変更点・変わっていない点は?

「フランス語」に関して、センター試験2020から共通テスト2021への、目立った違いは以下の通り。なお、点数は200点満点です。


  1. センター第2問の同義文判定は、共テでは出題されず
  2. 語彙・品詞転換は、センター第3問から共テ第2問に移動(配点かわらず)
  3. 適当な語句をえらぶ空欄補充が、センター第4問から共テ第3,4問へと移動・増加(センター24点→共テ21+18点。第3問は従来どおり文法・語法、第4問はあらたに日常的な言い回しを問う)
  4. 語順整序がセンター第8問から共テ第6問に移動(配点かわらず)
  5. 図・資料問題の比重が増加(センター33点→共テ38点)
  6. 長文読解の比重が増加(センター33点→共テ43点)

やはり大きな変化は上記の3・5・6でしょう。

試行調査から「外国語(英語以外)も英語に準ずる方針」と言われていましたが、フランス語も英語と同じく「聞く・読む・話す・書くのバランスのとれた評価」「実際のコミュニケーションの場面等における言語活動」が意識されています。

こうして見るとつい変更点に目がいきがちですが、ちょっと待って。

一方で「発音問題」「語彙・品詞転換」「文法・語法」「会話文完成」「語順整序」といった、大問の位置は多少変わっても、問題そのものはセンターと変わらない問題も多く、基本的な路線としてはセンターを踏襲しているのも事実です。

そして後の「英語との比較」でも書くように「センター試験から変わっていない部分が多い」というのが、共通テストの外国語でフランス語が英語よりも有利な最大のポイントだと思います。

試験問題の概要

共通テスト2021外国語(フランス語)の全体像は、以下の通り。

大問テーマ配点出題内容
1発音問題10単語の一部の発音が異なるものを選ぶ。リエゾンも問われた。
2語彙・品詞転換20空欄に補充すべき綴りを選ぶ。性、品詞、時制の理解も問う。
3文法・語法21空欄補充。代名詞・比較級の用法・接続法の理解など幅広く問う。
4熟語・表現18空欄補充。日常的な言い回しを中心に表現の理解を問う。
5会話文完成25問いと受け答えから、間に入る適切な応答を選択。
6語順整序25日本語の意味になるよう空欄を補充して仏作文を行う。
7図・資料問題38手紙文、コンテストの要項から情報を得る。設問のパターンはさまざま。
8長文読解43約1ページ分の長文。空欄補充、文意理解、内容一致など。

ポイントとしては、

・センター(フランス語)第2問にあった、意味の近い文章をえらぶ問題を削った代わりに、共テ第4問で日常的な言い回しを中心とした問題が出た

・共テ第7問の図・資料問題では、今回は資料の読み取りがやや複雑になり、正確な読解と対応箇所の発見、コミュニケーションの理解など幅広く問うものになった

・共テ第8問の長文読解では、今回は文章の難易度そのものが少し上がり、本文を精読し問題文と行き来しながら総合的な思考力、判断力を問うものになった

といった点が挙げられるでしょう。

ところどころ細かい知識を問う問題もありましたが(第2問の問5、第3問の問5など)、基本的な知識と正確な読解力が試される点はセンター試験と同じです。

共通テスト「フランス語」の難易度は?

試行試験の段階から明言されていますが、英語にしてもフランス語にしても「ヨーロッパ言語共通参照枠を参考に、A1 からB1 までの問題を組み合わせて」出題されます。

JUKUCHO
ヨーロッパ言語共通参照枠は、ひと言でいえば語学力のレベル。
A1→A2→B1→B2(→C1→C2)の順にレベルが上がっていきます

では、その最大難度がどれくらいかというと、フランス語の場合、

・仏検なら2級〜準1級(標準学習時間400時間〜500時間以上)
・DELFならB1〜B2 (同350〜550時間以上)

レベルまではほしいところ。ただし、それは「満点」を狙いにいった場合の話です。

一定時間の学習が必要なのは当然ですが「A1 からB1 までの問題を組み合わせて」出題とあるように、発音や文法・語彙など基本的な問題も数多く出題されるので、それぞれの状況に応じて、上記の時間数はあくまでひとつの目安にしてください。

そして次に書くように、いくら「要求される語学レベルが同等」とはいっても、共通テスト2021に関する限り、試験問題の性質として英語とフランス語では大きな差がありました

フランス語と英語、どっちが簡単?

身もフタもない言い方ですが、共通テスト(外国語)の問題として「フランス語と英語、どっちが楽か」は気になるところだと思います。

結論から言えば、共通テスト2021を見る限り、点の取りやすさという意味でセンター時代よりも外国語(英語以外)を選ぶメリットは大きくなったと思います。

もちろん、上にも書いた通り「要求される語学レベル」はひとまず同等です(英検でも仏検でも準1級くらいあれば安心)。

しかし、共通テストの英語とフランス語では、問題形式がずいぶん違う点に注意しましょう

というのも、多くの方がご存知の通り共通テスト英語では、

・発音・アクセント・文法・語彙の問題がなくなり、語数が大幅に増えた
・語彙や文章そのものはさほど難しくなくても、資料(メール・ウェブサイト・スライドなど)を即座に照らしあわせる情報処理能力が必要
・独特の出題形式であるfact/opinionの問題が厄介
・リスニングがある(1度しか読まれない大問あり)

これに対して共通テストフランス語は、

・発音・文法・語彙の問題について、センターから形式的な変更はなし
・とくに第7問で少し読む分量が増えたが、英語のように高度に情報処理能力を要する問題ではない
・第8問(長文読解)も形式面で難しいわけではない(ただし、本文全体のタイトルをえらぶ設問が出題)
・リスニングがない

という特徴があるからです。

とくに今回は初の共通テストということもあり、英語の受験生には時間が足りなかった人が多いのではないでしょうか。

英語はメールやウェブサイトなど、実用的かつ現代性に即した内容が目立った反面、精読する力を試す側面は減ったように思います。

フランス語はこれに対して形式は従来どおりかつ、長文も骨太のものが1題と「正確な知識とじっくり正しく読む力を試す」という、ある意味で対照的な試験になりました。

それぞれの学習状況や目標、外国語へのモチベーション、向き合い方にもよりますが、2022年に共通テスト受験を予定しているみなさんは、フランス語受験を考えてみるのも一法かと思います。

共通テスト2022への対策は?

共通テスト対策の具体的な勉強法・おすすめ教材についてはこちら↓の記事で書いているので、興味のある方はぜひご参照ください。

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共通テスト2021「フランス語」について講評を書いてきました。

共通テストだけでなく、大学の2次試験の英語・フランス語の差にも言えることですが、英語がすばやい情報処理能力を求める傾向があるのに対し、フランス語は腰を据えて正しく読むことに重きをおいている感があります。

これにはフランス語が英語のように「受験業界」として確立していないことも関係あるでしょうが、「必ずしもスピード重視ではない」「明晰な言語をめざす」といった文化面からも頷けるところです。

けっきょく言語は思考なので「共通テスト」という枠組みは同じでも、試される力まで完全に同じというのは難しいのが現実。

ご自身に向いている力・将来の方向性なども踏まえつつ、共通テスト2022へ向けてそれぞれ準備を進めていってくださいね。

共通テストだけでなく、フランス語を2次試験でも考えている方は、よくある出題パターンと対策を分析したこちら↓もどうぞ。

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