独学で合格できる!【仏検4級】難易度とオススメ勉強法
フランス語の勉強を続けるうちに
「モチベーション維持のきっかけがほしい」
「仏検4級の難易度が知りたいな」
「独学でも合格って狙えるの?」
と思うこと、ありますよね。
「仏検4級」では5級に比べて問われる文法事項の範囲も広がり、先生によっては、大学での単位取得の代替要件にしている人もいます。
問題をみる前から「けっこう難しいんじゃ…」と想像する人も多いのですが、じつは基礎力を問う試験なので、型に慣れさえすれば、独学でもじゅうぶん合格が狙えます。
この記事では、
・どれくらいの勉強時間の人が受けているのか
・「型に慣れる」ためにどういう対策が効果的なのか
をまとめて紹介していきます!
仏検4級、そもそもどんな試験?
仏検4級は筆記試験45分、聞き取り試験約15分からなります。
スピーキング(面接)はありません。
全問、正解の数字を選択する【マークシート方式】です。
なお聞き取り試験の第3問だけ、聞き取った【数字】をマークします。
概要は以下の通り。とくに筆記試験は、セクションごとに問われる内容が細かく定められているので、対策が立てやすいです。
・筆記試験の構成(66点満点)
大問 | 内容 | 形式 | 配点 |
1 | 冠詞・前置詞+定冠詞 | 選択 | 8 |
2 | 代名詞 | 選択 | 10 |
3 | 対話完成 | 選択 | 8 |
4 | 動詞の活用形 | 選択 | 10 |
5 | 語順整序 | 選択 | 10 |
6 | 前置詞 | 選択 | 8 |
7 | 文にあう絵を選ぶ | 選択 | 6 |
8 | 内容一致 (会話文) | 選択 | 6 |
・聞き取り試験の構成(34点満点)
大問 | 内容 | 形式 | 配点 |
1 | 文にあう絵を選ぶ | 選択 | 8 |
2 | 質問への応答を選ぶ | 選択 | 8 |
3 | 数詞 | 記述 | 8 |
4 | 内容一致 (会話文) | 選択 | 10 |
合格基準点と合格率は?
「せっかく受検するなら、合格してモチベーションにつなげたい!」
では具体的に、何点を目指せばよいのでしょうか?
仏検4級の合格点はズバリ、60点です。
今後かわる可能性がないとは言えませんが、過去のデータを見るかぎり、現時点ではハッキリした基準点でしょう。
2021年秋のデータでは、受験者数(※出願者数ではなく、当日会場まで足を運んだ「受験者数」)は2,695名、合格者数は2,013名です。合格率は74.7%。
例年、4級の合格率は70〜80%です。
当日会場へ足を運んだら7割がた合格、ということですね。
情報のソースが気になる方はこちらの公式サイトから確認できます。
これは3級の合格率が50%台に留まるのと比べると、ずいぶん高い。
とはいえ、残りの2〜3割の人たちについても「本当は合格を狙えたけど、適切な対策が取れなくて失敗…」というパターンが多いと思います。
「とりあえず授業を受けている」「文法書を買ってきて頭からやっていく」といった勉強は、ふだんは大切ですが、目的が「仏検4級対策」なら必ずしも賢いやり方ではないかも。
通算学習時間のめやすは?
標準的な学習時間は100時間以上とされています。
高校・大学で週1の授業なら2年間、週2の授業なら1年間の学習に相当します。
ちなみに、よく受検されるもうひとつの公式検定 DELF と比べるなら、ひとつ上の仏検3級が DELF A1 におおむね対応します。
当たり前ですが「なんでもいいから、とにかく100時間」では合格できるとは限りません。仏検4級はきちんと型のきまった試験なので、後で書くような試験対策にきちんと時間をかけることを忘れずに。
申込みはいつまで?
仏検4級の申込みは通常、願書郵送なら試験の約1か月前まで、インターネットなら試験日の約3週間前まで。
春季の申込み期間は、4月〜5月中旬、秋季の申込み期間は、9月〜10月中旬です。
春季・秋季とも出願の時期など、こちらの公式サイトから確認できます。
独学でも合格できる!
「高校・大学である程度習ったから受検してみよう」というパターンが多いとは思いますが、きちんと勉強を進めていけば、すべて独学で合格することは十分可能です。
ただし、上に書いたように「学習時間のめやすが100時間以上」であることは変わらないので、ひとりでも継続することが大事です。
さらに、合格の可能性を上げるためには、次に挙げるような仏検対策用の勉強を意識的に進めるのが効果的です。
仏検4級、具体的な対策は?
「独学も十分可能」と書きましたが、では具体的にどんな勉強をすれば近道なのでしょう?
以下では、ふだんの学習ではなくあくまでも【仏検4級合格】のための効果的な対策方法に絞って、重要な順に書いていきます。
まずは一度、過去問を解いてみよう!
仏検4級を受検しようか検討している時点で、すでにある程度フランス語学習を進めている段階だと思います。
とはいえ、たいていの場合それは「仏検用」の勉強ではなく、一般的なフランス語学習でしょう。
「仏検の型」を知って、それに合わせた対策をするだけでも、単純にいくらか点数は伸びます。
とにかくまずは早い段階で「仏検4級」の過去問を1回分解いてみましょう。
……上に挙げた合格基準点、60点が取れていましたか?
自分が明らかに点数を取れていない大問があれば、まずはそのセクションに対応する表現の暗記や文法事項から対策を始めましょう。
たまに「同じ問題は2度と出ないから」という理由で過去問を敬遠する人がいます。
でもそれは違っていて、確かに「まったく同じ問題」は出ないかも知れませんが、過去問を解くポイントは「その難易度・その型の問題に慣れる」ことにあります。
「慣れ」というはっきりと目に見えないところが案外大事なんです。
じっさい、オリジナル練習問題よりも過去問の方がよい所を突いていることが多々あるので、合格を目指している人で、まだの過去問を一度も見たことのない人は、騙されたと思ってとりあえず一回分、解いてみることを強くおすすめします!
※ちなみに過去問と解答だけなら、わざわざ問題集を購入しなくても、仏検公式サイトで一部公開されています。
基本文法をおさえよう
仏検4級の出題は、いわゆる高校・大学で勉強するような仏文法をきちんと勉強できているかを問うものが多いです。
たとえばこういった内容、きちんと頭に入っていますか?
・定・不定・部分冠詞、前置詞と定冠詞の縮約、否定の冠詞de
・指示代名詞、人称代名詞とその強勢形、中性代名詞
・動詞の活用と用法(直説法現在/複合過去/半過去/単純未来、近接未来/過去、命令法)
・形容詞・副詞の位置
・比較級・最上級の形と用法
・数量表現(「多くの」「少しの」「どれくらいの」)
・前置詞の意味と用法
独学の場合はまず文法の参考書を読み、練習問題を解いて、少しでも抜けているところがあれば潰していくことから始めましょう。
仏検3級のように文法が包括的に問われることはないので、まだ易しいですが(たとえば3級なら条件法や接続法も出題)、逆に言えば「どの範囲が試験に出るか」を下に挙げる参考書などできちんとチェックして対策できるかがポイントになります。
単語・表現の暗記をしっかり
仏検4級に必要な語彙数は920語とされています。
文法と併行して、単語や表現を暗記することも最初はとくに重要なので、ぜひ市販の単語帳を1冊使って勉強しておきましょう。
とくに仏検4級では少々文法知識が抜けていても、語彙力・熟語力さえあれば意味が取れて正解できる場合も少なくありません。
対策としては、とにかく仏検4級用の単語集で覚えまくることです。
何冊も買うより、むしろ自分にあった1冊でいいので2〜3周しましょう。
まずはフランス語単語を見て、日本語の意味が瞬時に出てくるようにしましょう。1周目でわからない単語に印をつけて、2周目はその単語だけ見直す、など自分に合った暗記の仕方で大丈夫です。
ちなみに暗記のコツはこの動画↓でも言いましたが、1単語にじっくり時間をかけるのではなく、むしろ1単語にかける時間は1分〜1分半くらいでいいので、何度もその単語に出会うことです。
【仏検4級】は全問マークシート方式なので、合格だけが目的なら書けなくてもいいかも知れませんが、ひとつ上のレベルである【3級】以上からは、基本的な語彙についてスペルを書ける必要があります。
少しずつでもいいので、重要単語については日本語を見てフランス語が正確に書けるように練習しておくことを強くオススメします。
とにかく、毎日コツコツ続けることがいちばん大事です。
リスニングは難関じゃない!
人によっては「リスニングがこわい…」と思うかも知れませんが、仏検4級に関する限り難易度は高くありません。
過去問を解いてみて、リスニングが極度に難しく感じる場合、単純に単語や表現の暗記が足りていないということが多々あります。
そもそも仏検4級では、聞き取り試験のどの大問についても3回音声が流れ、スピードも速くありません。つまり、聞き取り試験もリスニングの問題というよりは、実質的に語彙の問題という性質が強いのです。
もちろん日々の勉強としてリスニングをするのはとてもよいと思いますが、試験対策という意味では、文法の学習と単語の暗記最優先で大丈夫です。
仏検4級の「リスニング」で問われるのは、とくに疑問詞の理解と数詞です(第3問では数字を聞き取ってマークシートに書く必要があります)。
数詞については、10分でできるトレーニング用聞き流し動画を作っているので、参考にしてください。
「どうしても聞き取れない!」と感じる場合は、そもそも単語の暗記の時点できちんと発音記号・正しい発音と一緒に覚えられているか確認してみてください。
聞き取れない「原因」と「対策」についてはこの記事↓で書いているので、参考にして頂ければと思います。
フランス語が聞き取れない? リスニング基礎力をつける方法と教材!フランス語は聞き取れない…… と思っているあなた。それは正しい方法で訓練していないだけかも知れません。まずは原因を分析して、どうして聞き取れない[…]
おすすめの対策教材&動画は?
「とくに仏検に特化したテキストを探している」という場合は、オススメについてこちらの記事↓でまとめているので、ぜひご覧ください。
仏検対策は過去問、それとも問題集から? 合格の最短ルートを紹介仏検5級〜1級の受検を考えている人向けです。フランス語をある程度つづけてきたら、 「そろそろ仏検、受けようかな」 「とりあえず過去問を見てみたい」[…]
一部重なってはいますが、【仏検4級】対策としておすすめできる教材は、以下の通りです。
・フランス語教育振興協会 『仏検公式基本語辞典3級・4級・5級 新訂版』(朝日出版社)
仏検の5・4・3級について、この単語集から出題されます。ふだんの勉強の総仕上げとして「ぜひ仏検に即応した単語帳を」という人はこの本が効果的でしょう(Amazonのサイトのイメージ写真でレイアウトが見られます)。
ちなみに、仏検に即応したものでは久松健一『仏検対応 フランス語単語 Revolution』(研究社)もあります。
単語・例文を含めて過去の仏検データをもとに5級〜準2級までカバーしているので心強い一方、レイアウトが2段組でピチッとしていて(こちらもAmazonのサイトのイメージ写真でレイアウトが見られます)小さな辞書のような趣があるので、どちらかというと長くフランス語を続けたい&ストイックな人向けかと思います。
梅比良眞史『仏検合格のための傾向と対策 4級―実用フランス語技能検定試験』
はっきり言って、ふだんの勉強に加えてこの1冊があれば【仏検4級】の対策には十分だと思います。
それぞれの大問に対応する「文法事項」のおさらいが書かれていて、わざわざ別の参考書を開かなくても、この一冊さえあれば思い出しながら仏検形式の問題を解いていけます。巻末には「仏検4級対策単語集」がまとめられているので、チェックにも効果的。
使い方としては、上に書いたようにまずは過去問1回分を解いてみた後で、とくに点が取れなかったセクションから優先的に「問題を解く→解説を読んで理解」のサイクルを繰り返しましょう。
とはいえ、文法のおさらいは不要で「とにかく仏検タイプの問題とその解説だけあればいい」という人は、それぞれの大問形式に対応する練習問題の多さで選ぶなら『仏検公式ガイドブックセレクション』(駿河台出版社)シリーズ、全体の問題数が多少すくなくても、本番さながらの「模試形式」で選ぶなら『仏検公式ガイドブック』(駿河台出版社)がよいでしょう。
また【動画版ふら塾】では、仏検4級対策用の動画を公開しているのでよければぜひ!
こんな感じのです↓ Youtube の再生速度を落とせば書きとり練習にも使用可能。
聞き流し動画は、こちら↓に全部まとめてあるので気になる方はぜひご覧ください。
ふら塾では、学習を効率化するための「きき流し」動画を配信中。よければこちらからチャンネル登録して頂けると、すぐに見られて便利です。現在、単語帳シリーズと活用シリーズがあります。 (adsbygoogle[…]
おわりに
仏検4級対策に絞って合格のためのポイントを書いてきましたが、いかがでしたか?
検定試験は、受検前の勉強が語学力アップにつながりますし、合格すればモチベーション維持になるので、ステップアップのためのよい機会になるでしょう。
仏検4級はポイントを絞って学習すれば独学でも十分合格が狙える試験です。
みなさんもぜひフランス語に磨きをかけて、合格を勝ち取ってくださいね!