共通テストフランス語のレベル予想と対策【センター試験2019分析】

共通テストフランス語のレベル予想&対策 〜センター試験2019の分析から〜

大学入試センター試験(以下、センター試験)が終わり、2021年からいよいよ大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が始まります。

「新試験への移行でただでさえ緊張するのに、外国語(英語以外)に関しては、そもそも参考書も少ないし、不安…」という人も多いでしょう。

そこでふら塾では、センター試験の過去問(今回は2019過去問)分析から共通テスト「フランス語」のレベルを予想、さらに試験直前までできる対策方法を紹介します!

なお、センター試験2020についてはこちらの記事↓で書いています。

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どんな試験だった?

受験者数と平均点

センター試験2019について、基本情報は次の通り。

・受験者数 102名
・平均点 138.64点(100点満点換算で69.32点
公式サイトより)

ちなみに英語の平均点は筆記123.30点 (100点満点換算で 61.65点)、リスニング31.42点 (100点満点換算で 62.84点) です。

受験者数が大きく違う(英語受検は53万人以上)ので単純な比較はできませんが、例年どおりフランス語受験者の方が平均点がずいぶん高いと言えます。

フランス語にはリスニングがないぶん落ち着いて解ける点も、平均点が高いことの一因でしょう。

問題の概要と分析

それぞれの設問の解法については、記事の最後にのせた動画で説明しているので、この記事ではポイントを絞って見ていきましょう。

まずセンター試験2019フランス語の内容を概観すると次のようになります。

大問テーマ配点出題内容
1発音問題10単語の一部の発音が異なるものを選ぶ。リエゾンも問われた。
2同義文判定18意味の近い文を選ぶ。基礎的な定型表現や熟語の理解が必須。
3語彙・品詞転換32空欄に補充すべき綴りを選ぶ。時制、類/対義語の理解も問う。
4文法・語法24空欄補充。関係代名詞、比較級、分詞、接続法の理解など幅広い。
5会話文完成25問いと受け答えから、間に入る適切な応答を選択。
6図・説明文書33プールの掲示物、学校の試験答案から情報を得る。設問のパターンはさまざま。
7長文読解33約1ページ分の長文。空欄補充、文意理解、内容一致など。
8語順整序25日本語の意味になるよう空欄を補充して仏作文を行う。

問題全体を通して、フランス語の基礎的な知識を問うものと言えます。
ただし「基礎的」ということは、単純ミスで点差が開いてしまうので注意する必要があるということです。

とくに第4問、第7問、第8問では、正確な知識と総合的な処理能力が必要なので、ふだんの学習量が如実に出るでしょう。 一方、

第1問の問5 « neuf » のリエゾンや、第2問の問5 « vieille amie » の意味、第3問Bの問3「地面に」という表現など、フランス語をふだん使っていれば感覚的にわかってしまう問題もありました。

第6問の資料問題は、必要な箇所から情報を読み取ることができるかという、実務的な能力・コミュニケーション能力を試す問題で、少し時間はかかっても難問ではないです。

ここから、大きな方向性としては、

・基礎的な文法知識に抜けを作らないこと
・日常生活で使われる自然な表現をできるだけ覚えておくこと

が大切だと言えます。

共通テストのレベルを予想

まずは、ちょっと安心できる話から。

共通テストになるとはいえ、基本的にはセンター試験の路線そのままで、大きな変更があるとすれば2024年度以降になる見通しです。

外国語(英語以外)に関しては、従来どおりリスニングもありません

そのうえで、気になるのは「じゃあ、レベルは?」ということですね。

基本レベルとはいえ、文法事項が満遍なく出ていること、バリエーション豊かな日常表現が出ること、1ページ程度の長文が出題されることを踏まえれば、仮にどんな問題がきても満点をとりたいなら

・仏検なら2級〜準1級(標準学習時間400時間〜500時間以上)
・DELFならB1〜B2 (同350〜550時間以上)

レベルは必要だと思います。

ただし、問題によって個人の得意・不得意がありますし、仏検と問題の性質が近いとはいえ、まったく同じではないので単純化はできません。

(学習時間が少なくとも300時間程度はないと、厳しいとは思いますが)

そのうえで、さっきも書いたように重要な方向性は

・基礎的な文法知識に抜けを作らないこと
・日常生活で使われる自然な表現をできるだけ覚えておくこと

でしたね。以下ではこれを実現するために、必要な対策を見てみましょう。

直前までできる対策は?

以下では、直前までできる共通テスト対策を挙げています。

4つのセクションにわけていますが、上から大切な順に挙げているので、参考にしてみてください。

過去問を「少なくとも」3年分解く

試験対策の基本中の基本なので言うまでもないですね。

そして、直前で時間がないときほど過去問(この場合はセンター試験)中心の対策に切り換えた方がいいです

やり方は「過去問を解く→答え合わせ→間違ったところを文法書などで調べて理解・2度と間違わないようにする」

「少なくとも」3年分であって、10年分くらい解いても多すぎるということはありません(他の科目との兼ね合いもあると思いますが)。 インターネットで探せば問題・解答ともすぐに手に入ります。

同じ「型」の問題にどれだけ慣れたかで点数がほんとうに大きく変わってきます。
「過去問は2度と出ることはないから」とかよく分からない理屈で敬遠するのはすぐにやめましょう。

とにかく単語・表現を覚えまくる

過去問と併行して、試験直前まで対策が可能なのがもちろん「暗記」ですね。

受検では「最後は単語」と言われるように、単語さえわかれば文章の意味がとれることがあります。

発音を含めた単語と表現の暗記を徹底しましょう。
とくに第1問の発音問題は、知っていれば取れるので、絶対に落とせない大問です。

発音の最終チェックには、単語帳についているCDの聞き流しなどを活用するとよいでしょう。

また、熟語や表現の暗記は « avoir hâte de + inf. » のように抽象的な形ではなく、 « J’ai hâte de faire du ski. » のように具体的な例文をまるごと覚えておく方が結果的に汎用性が高く、効果的です。

こちらも、音声がついている短文暗記の表現集などを活用して、直前まで少しでも多様な表現に触れるようにしましょう。

文法の穴をつぶしておく

直前になるほど「1冊の文法書を解き進める」というのは難しくなりますし、さほど効率よくもありません。

そこで、過去問をまず解いて、間違えた原因になった文法事項を文法書・文法問題集で集中的に復習するのがおすすめ。

間違えたところは復習して穴をひとつずつ、確実に潰してゆきましょう。

一例ですが、接続法がどういうときに求められるか、きちんと覚えていますか?
接続法をとる表現が与えられて、接続法になっている動詞を選ぶ問題は過去に何度も出ています。

試験のセオリーは「点を落としてはいけないところで落とさない」です。
過去問を解くなかで、よく出てくるポイントをとにかく最優先に押さえましょう。

ちなみに、接続法をとる表現の一部は次のとおり。

主節の動詞が、願望・要求・命令・否定・疑念・感情などを表現するとき、que の後ろの動詞が接続法に。※ espérer (期待する)は例外(但し、主節が否定・疑問なら接続法)

Je souhaite que/Je veux que (を望む)
Je doute que (を疑わしく思う)
Je défends que(を禁じる)
J’​ai peur que (を恐れている)
Je suis content(e) que (に満足している)
Il est possible que (かも知れない ※ただし il est probable que は直説法)

日常表現・長文問題に慣れておく

日常表現とは、単語とも熟語とも少し違う、コミュニケーションのなかでの慣用的な言いまわしのこと。

どうして長文問題とセットにしているかというと、どちらも仏検対策と共通する部分があるからです。

とくに仏検2級には対話文完成(第5問)会話文の穴埋め問題(第7問)があり、また長文読解(第6問)も含まれるので、過去問もやり尽くして直前になにか見ておきたい場合は、仏検2級本をおすすめしています。

ただし、あくまでも「過去問をやり尽くして」いることが前提なので、まだの場合はそちらを優先で。

また、仏検準1級対策本だと、長文読解はあるのですが、対話文完成の問題ないので、この点にも注意してください。

対策にあわせた教材は?

上に4つのセクションにわけて、直前までできる対策を紹介しました。

「重要な順に並べている」と書いたとおり、基本的には過去問中心で大丈夫です

それでも「過去問以外で、なにか教材を使って勉強を進めたい」という場合にオススメできるものを一応、用途別に4冊だけ挙げておきます。

・ヴェスィエール・ジョルジュ『仏検準1級・2級対応 クラウン フランス語単語 上級』(三省堂)

単語帳の中ではかなりおすすめできます。準2級〜1級対応なので、レベルも共通テストにぴったり

すべての単語に発音記号がついていて、音声教材もあり(ダウンロード方式)。レイアウトも綺麗で、モチベーション維持にも問題ありません。

発音記号を見ながら、単語を実際の発音と照らし合わせることができるうえ、例文とともに暗記することで、効率よく覚えることができます。

・Christian Kessler, 山下利枝『改訂版 口が覚えるフランス語 スピーキング体得トレーニング』(三修社)

短文が日本語とフランス語で交互に、次々流れていくという類書が少ない貴重な一冊。聞き流しながらの最終知識チェックに最適です。

聞こえてきた日本語をフランス語にするとどうなるか、を意識しながら聞けるので、表現の抜けを確認すると同時に、仏作文の練習にもなる良書です(センター試験なら第8問に語順整序がありましたね)。

レビューにもある通り、初学者には難しい作業かも知れませんが、これから共通テストを受けようとする人ならスラスラ出せてほしいレベルの文章ばかりです

・東郷雄二『フランス文法総まとめ問題集』(白水社)

こちらも効率よく知識を確認できる問題集です。文法内容が網羅されていてかつ問題量も多いので、過去問を解くなかで見つかった弱点について、試験前に文法の穴を潰す作業にはとても役立つでしょう。

また、ふだんの学習で使うならば総復習などで知識事項をスピーディーに確認していきたい人向け(とはいえ詳しい解説もついています)と言えます。

・モーリス・ジャケ, 舟杉真一, 中山智子『仏検対策2級問題集[改訂版]』(白水社)

上にも書いた通り、共通テストに出てきそうな日常表現や、また長文読解の練習が効率よくできる点で、仏検2級対策はおすすめです。

とはいえ、すべて解く必要はなく、共通テスト対策なら、とくに対話文完成(第5問)・長文読解(第6問)・会話文の穴埋め問題(第7問)あたりが役に立つでしょう。

仏検2級対策本にもいくつかありますが、個人的にはこの本をすすめています。問題量が十分あり、解説が詳しく、また長文読解の解説には全訳がついています。

まとめ&動画はこちら

センター試験2019の分析を通して、予想される共通テストフランス語のレベルについて、見てきました。

冒頭にも書いた通り「共通テスト」と名前が変わっても、試される力が大きく変わるわけではありません

また、もし少し形式が違う問題が出てきても、条件はみんな一緒です。
焦らず丁寧に対応しましょう。

落ち着いてふだんの力を出すことだけを考えて、試験にのぞんでください。

みなさんの成功を願っています!

フランス語試験のさまざまな問題形式と対策についてはこちらの記事で↓まとめています。

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