【フランス語入試】共通テストと2次試験の難易度・出題パターンは?

いよいよ2021年から共通テストが始まります。
外国語試験について検索しても英語の話ばかりで、フランス語についてはほとんど出てこないですね。

それもそのはず。センター試験2020の英語受験者は528,401人、フランス語は121人なので情報量が少ないのは諦めましょう(わたしは今この記事を100人くらいに向けて書いています)。

しかも共通テストならセンター試験の過去問があるのでまだマシですが、2次試験の方は各大学に問い合わせない限り、入手すら難しい状況です。

そこでこの記事では、

じゅくせい
「どんな難易度の問題が出るの?」
「対策はどんなふうにすればいいの?」

といった疑問に答える形で(共通テストについては予想になりますが)見ていくことにしましょう。

JUKUCHO
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共通テストと2次試験の難易度・出題パターンは?

「大学入試、英語は英検2級レベルだけど、フランス語なら仏検3級レベルだから簡単」という都市伝説(?)を聞くことがありますが、残念ながらそんなことはありません。

以前、こんなツイートをしたことがあります。

そもそも試験の性質が違うので一概には言えませんが、

共通テスト・2次試験ともに、高得点を狙うなら仏検2級相当は最低限、できれば準1級程度

の力は必要だと考えておいた方がよいでしょう。

ただし、こういうまとめ方はザックリしていますし、あくまで「目安」です。

というのも、フランス語の試験は大学受験業界として英語ほど「確立」していないので、ばらつきが大きいからです。

英語の場合なら「○○大対策はこれだ!」と予備校講師がはりきって言えますが、フランス語試験(とくに2次試験)の場合、それぞれの大学でフランス語を専門とする教員が「今年は受験生がいるらしいから、問題つくりますか」といった雰囲気で作成する(可能性が高い)ので、そもそも基準があいまいなのです

難易度について

それなら、なにをもって難易度とするか。大きな基準は3つあると思います。

  1. 制限時間
  2. 語彙の難しさ
  3. 出題パターン

1と2はそんなに説明が要らないと思うのでサラッと。

制限時間

問題量に対する時間が十分あるかどうか。
個人差はありますが、共通テストならさほど心配しなくても大丈夫でしょう。

英語と比べるとフランス語の方が少し余裕がある場合が多いですが、過去問を解いてみてスピード感をつかんでおく必要があります。

こればっかりは総合的に能力を磨いて、できるだけ出題パターンに慣れておく把握しかありませんね。

語彙の難しさ

専門性の高い語彙が要求されるかどうか。

「仏検単語帳」の後半に出てくる語彙・表現が頻出しているか、というのもありますが、それよりはむしろ「専門用語」「時事用語」が出ているかに注目しましょう。

この点についても、共通テストならば極端に難しいものはありませんが、とくに2次の仏作など「時事用語」を書けないといけない場合はクセモノです。

ただの日常用語の仏作なら、言い回しを変えて自分の知っている表現に持っていくことができますが、「時事用語」が入っていると実質的に「知識問題」になるので難しいと言えます。

仏検でも1級の試験には時事用語の完成が出題されますね。

出題パターンと対策本

試験対策という意味では、これが一番わかりやすい要素だと思います。

共通テストの場合ならひとまずセンター試験のパターンを、2次試験の場合なら志望大学から過去問を取り寄せてそのパターンを極めることが、準備の第一歩。

とはいえ、問題を見てみればわかりますが、さまざまなバリエーションの設問があり、それによって難易度と対策が変わってきます。

共通テストや自分の受けたい大学の出題パターンから難しさを判断するために、以下にパターンを押さえておきましょう。

出題パターンについて

受験にせよ仏検やDELFにせよ、試験において大切なのは、制限時間内にそのパターンの問題を解くことに慣れているかどうか。

英語の場合を考えれば想像できる通り、フランス語試験にもいくつか出題パターンがあり、その数は限られています。

少し長くなりますが以下に列挙するので、とくに苦手な分野を中心に見てもらえればと思います。

なお、この記事を書いている時点では共通テストはまだ行われていないため、センター試験の出題傾向からの「予想」になることをご了承ください。

発音問題 [易]

センター試験でもおなじみの発音問題。

オーソドックスな問題なので、2次試験よりはむしろ共通テストで試される可能性が高いと思われます。

サイトや動画でこれまでも強調していますが、「発音の勉強だけを集中して勉強」というのは非効率なので、単語の暗記と同時に発音を覚えるようにしましょう。

その際、カタカナ読みではなく、すべてに「発音記号」の載った単語帳を使って、自分で発音しながら覚える、これにつきます。

もちろんその前提として、発音記号の勉強は仕上げておきましょう。
ふら塾でもこちらの動画でフランス語の「全母音」の発音記号とポイントを解説しているので、適宜参照してください。

また、リエゾンについて問われる場合もあり、これについてはリエゾンの規則を丸暗記してもよいですが、どちらかというとスクリプトを見ながらリスニングするなかで少しずつ修得していくのが現実的だと思います。


発音問題の対策本は?

ヴェスィエール・ジョルジュ『仏検準1級・2級対応 クラウン フランス語単語 上級』(三省堂)

発音問題といっても、発音記号の載った単語帳で地道に覚えてゆくのが結局は近道です。

比較的新しい本ながら、単語帳の中ではかなりオススメ。すべての単語に発音記号がついていて、単語を実際の発音と照らし合わせることができます。音声教材あり。レイアウトも綺麗で、モチベーション維持にも問題ないでしょう。

同じ著者による仏検4級・5級対応の入門篇もあり、初心者にはオススメできますが、受験対策用なら『仏検準1級・2級対応』まではこなしておきたいところ。

図・絵・資料を使った問題 [易]

センター試験でも毎年出題され、共通テストでもおそらく出ると思われます。

図や絵、資料を読み解く問題はフランス語以外にも視覚的な情報があるため、正解を出すことは比較的容易です。

ただし、試験である以上「簡単」ということはミスが許されないということ。

勘違いなどで不意に点数を落とさないように、気を引き締めて取り組む必要があります。

いろいろなヴァリエーションがあり、また市販の問題集などにもこのタイプの問題はほとんどないので、センター試験の過去問を数年分は解くことで、傾向をつかんでおきましょう。

図・絵・資料を使った問題の対策本は?

このタイプの問題については、これといった決まった型があるわけではないので、市販のものから対策本を見つけるのは難しいです(仏検なら5級・4級に出題されますが、入試に対してレベルが低すぎるので使えないでしょう)。

強いて言えば、公式フランス語検定 DELF の B1 などにも図・絵・資料をもとにした問題がありますが、自分の受けたい試験とパターンが合っているかをチェックする必要があります。

いずれにしても、他の問題が正確に解けるくらいフランス語力を高めていれば、この出題パターンの入試問題については簡単にできるはずなので、過去問の他には特別な対策は必要ないくらいだと思います。

語順整序 [易〜標準]

バラバラになった文の要素を並べ替えて正しい順番にする問題。

難しく見えるかも知れませんが、じっさいは語彙・表現の暗記や読む練習を丁寧にできていれば着実に点が取れます。

仏検5級〜3級でも同様の問題が出されていますね。

「易〜標準」としましたが、センター試験を見るかぎり共通テストでも「標準」レベルの問題が出されると予想されます。


語順整序の対策本は?

仏検公式ガイドブックセレクション3級(駿河台出版社)

語順整序だけにフォーカスした問題集は見当たりませんが、問題数が十分あり、かつ解説がもっとも詳しいのは最近出たこの本でしょう。

ただし仏検準2級以上ではそもそも語順整序が出題されないので、3級対策本を挙げています。センター試験・共通テストよりは少し難易度が下がるため、腕ならしに上の本を軽く見ておいて、本格的な練習はセンター試験の過去問で行うというのも一法です。

また、重要表現が見えれば簡単に解ける場合も多いので、「語法問題の対策本」でも紹介している『例文で覚えるフランス語熟語集』などで別途、重要表現を復習しておきましょう。

対話文完成 [易〜標準]

2人の会話を読んで、コミュニケーションが成立するように穴埋めする or 文章全体を埋める形式。

日常的に用いる慣用句の知識が問われることも少なくありません。

基本的にコミュニケーションがベースになるので、帰国子女など自然なフランス語をある程度身につけている人なら一発。そうでなくても「難問」と呼べるものはない印象です。


対話文完成の対策本は?

仏検公式ガイドブックセレクション2級(駿河台出版社)

仏検2級には対話文完成(第5問)と会話文穴埋め(第7問)が出題されるので、市販の仏検対策教材のなかでも解説が詳しいこの本は、練習に適しているでしょう。

なお、対話文完成と会話文穴埋めは準2級でも出題されますが(それぞれ第7問・第4問)、大学入試のレベルにもっていくための練習であれば2級の対策本の方をオススメします。

文法・語法 [標準]

文法・語法についての知識を短文のなかでダイレクトに問う、センター試験(共通テスト)ならではの問題。

もちろん仏検や大学入試の2次など、他の試験でも問われることがありますが、独立した大問で「文法・語法」にフォーカスする大問は少ない印象です。

高校卒業程度の基本的な文法事項を理解しているかを問う標準的なものなので、対策としては、下にも挙げる総まとめ本などを利用して、弱点がないかを一通りおさらいしておくのがよいでしょう。


文法問題の対策本は?

東郷雄二『フランス文法総まとめ問題集』(白水社)

文法事項を効率よく確認するなら、この問題集がオススメ。とくに試験前に文法の弱点を潰す作業にはとても役立つでしょう。解説も詳しいので、総復習などで知識事項をスピーディーに確認したうえで、抜けている箇所を理解したい人向け。

そもそも文法事項をおさらいしたい場合は、レイアウトがぎっしり詰まっていますが、コンパクトにまとめた同じ著者による『フランス文法総まとめ』もあります。


語法問題の対策本は?

Christian Kessler, 山下利枝『口が覚えるフランス語 スピーキング体得トレーニング』(三修社)

「語法」については、基本的には多くの文章を読むなかで単語の用法を押さえてゆくのが王道です。ゆえに対策としては、短文暗記をたくさん行うのが効率的。この本は、音声聞き流しで短文を暗記してゆくのに役立ちます。

モーリス・ジャケ, 舟杉 真一, 中山 智子『例文で覚えるフランス語熟語集』(白水社)

また、熟語や慣用句の暗記も短文のなかで行うことから、熟語を覚える意味もかねて、こちらの参考書も何周かできるとよいでしょう。「3級から1級に」という表紙の触れ込み通り、熟語が難易度ごとに★1つから3つまでに分けられているのでレベルに応じて使いやすいです(同じ著者の『単語集』もありますが、レイアウトが詰まっているのでオススメとまでは言い難いです)。

ちなみにフランス語の熟語集は数がとても少なく、 久松健一『「仏検2級・3級対応」フランス語重要表現・熟語集』(駿河台出版社) が1999刊のロングセラーで内容もよいですが、こちらはレベル分けがないので順に覚えてゆくことになるのが特徴です。

もし熟語マスターになりたいなら、5級から1級まですべてカバーした、同じ著者による『仏検対応 クラウン フランス語熟語辞典』(三省堂)がオススメ。「辞典」の名の通り分厚さが全然違いますが、レイアウトは見やすく、最強の熟語帳としても機能します。

空欄補充(限定詞・動詞・代名詞・前置詞を問う)[易・標準・難]

選択式・記述式ともにありうる、オーソドックスな問題ですね。

センター試験でも大問4などで見られましたし、共通テストでもこのタイプの問題が出ない、ということはないと思います。

また2次試験の場合も単体で問うたり、長文の一部を穴埋めにしたりと、いろいろなヴァリエーションが考えられるでしょう。

難易度を「易・標準・難」としたのは、基本的なことを問うこともできるし、きわめて難しい設問もあるからです。

このタイプの問題のなかでは、とくに「前置詞」の空欄補充に注意が必要です。

「え? 前置詞なんて簡単じゃ…?」と意外に思うかも知れませんが、仏検1級(第3問)にも前置詞の空欄補充が出題されるくらい、前置詞は奥が深い問題なのです。


空欄補充の対策本は?

東郷雄二『フランス文法総まとめ問題集』(白水社)

空欄補充といっても、原則的には文法事項の正確な理解がベースになっており、効率よくおさらいするなら、「文法問題の対策」でも挙げたこの本がオススメ。総復習などで知識事項をスピーディーに確認したうえで、抜けている箇所を理解したい人向けです。

繰り返しになりますが、文法事項そのものを復習したい場合は、同じ著者による『フランス文法総まとめ』を。

仏検公式ガイドブックセレクション準1級(駿河台出版社)

そのうえで、とくに難しい「前置詞」の空欄補充については、仏検準1級・1級の第3問が参考になります。受けたい試験に「前置詞」の空欄補充がある場合は、上記の準1級用(もちろん、さらに難しいのがよければ1級用でも)の問題集が、仏検対策の他の類書よりも解説が充実していてオススメです。

語句の品詞転換 [易・標準・難]

フランス語修得の全般において「品詞転換」は非常に大切。

必ずしも独立した大問になっていなくても、設問単位で聞かれることはよくあります。

フランス語は日本語以上に名詞構文を好む傾向にあるので、とくに動詞の名詞化はしっかり覚えておきましょう。

普段からある単語を覚える際に「この単語を名詞・動詞・形容詞・副詞にしたらどんな形になるだろう?」という点を意識しながら勉強すると効果的です。

一度覚えてしまえば簡単なので「易」の問題がある一方、普段はあまり使用しない語の品詞転換など「難」の設問もあり。

時間をかけて着実に語彙力を拡げていくのが正攻法です。


語句の品詞転換の対策本は?

仏検公式ガイドブックセレクション準1級(駿河台出版社)

問題を解いて答え合わせを繰り返し、間違えたところを確認するというスタイルなら、解説が丁寧な仏検の「セレクション」シリーズがよいでしょう。受験対策ということで「準1級」の問題集を挙げていますが、仏検では準1級・1級の第1問でともに「語句の品詞転換」が出題されます。

大賀正喜『フランス語名詞化辞典』(大修館書店)

問題形式ではありませんが「辞典」の名のとおり、単語を名詞化するとどのような形になるかを並べて例文とともに示したもの。アルファベット順に紹介されており、なかには難易度の高いものもありますが、自分の知っている単語を「名詞」にするとどうなるのかを調べる・覚えるための参考書としても使えます。

長文読解 [標準〜難]

「標準〜難」としましたが、一定の長さの文章を読んで問いに答えるという前提のもと、設問にはいろいろなパターンがあります。

上に挙げたすべてのパターンが理論的にはありえます。

加えて、長文読解ならではの設問としては、

・下線部の内容を具体的に述べよ
・下線部と意味が近い語(句)を選べ
・本文の内容と一致するものを選べ

といったものが定番ですね。とはいえ、いろいろなヴァリエーションがあるので、臨機応変に対応できるよう、練習問題を多く解いておきましょう。

長文読解ができるようになるためには、とにかく長い文章を読む体力を養うことです。自分の好きな作品の対訳本で勉強するのもよいでしょう。


長文読解の対策本は?

仏検公式ガイドブックセレクション準1級(駿河台出版社)
Christian Kessler, 山下利枝『耳が喜ぶフランス語 リスニング体得トレーニング』(三修社)

対策本の理想は、まずフランス語長文があり、全訳があり、設問があり、重要表現の解説があり、できれば文化面を少しフォローするコラムがあり… といった形式だと思いますが、残念ながらこの条件をすべて満たした参考書は現時点で見つからないと思います。

そこでセカンドベストを挙げるなら、全訳はないものの設問についての丁寧な解説はある『仏検公式ガイドブックセレクション準1級』(入試より難しい問題で練習したければ同じシリーズの1級でもよい)か、あるいは全訳とリスニング教材はあるけど、設問はない『耳が喜ぶフランス語』あたりが選択肢になるでしょう。いずれにしても、とにかく多読を心がけるのが先決です。

ただし、どちらのテキストも重要表現の解説などはないので、熟語などの重要表現については「語法問題の対策本」の欄ですでに挙げた参考書などでフォローしておく必要があります。

仏文和訳 [標準〜難]

共通テストにはない、2次ならではの定番問題。
よくあるパターンとはいえ、奥が深いです。

まずはフランス語を正確に理解する「構文把握力」をつけることが第一。理解した内容を正確に表現する「国語力」も必要になります。

なによりも、まずは × をつけられない答案をつくることを目指しましょう。

そのうえで、受験生が少ないからこそ採点者に好印象を与えうるのが「翻訳力」。品詞転換なども利用しながら、なめらかな日本語に仕上げることができれば強いです。

仏文和訳については、具体例をもとに説明した方がわかりやすいので、後日サイトあるいは動画で解説したいと思います。


仏文和訳の対策本は?

鷲見洋一『翻訳仏文法〈上〉』(筑摩書房)
鷲見洋一『翻訳仏文法〈下〉』(筑摩書房)

言わずと知れた仏文和訳の名著『翻訳仏文法』は2次試験対策にも力を発揮してくれるでしょう。文庫版で上下巻に分かれていますが、上巻の半分くらいを読むだけでもかなり和訳が上達するはず。練習問題も豊富で(かなり多いので適宜選んで訳していくとよいと思います)、自分でも手を動かしながら解説をつきあわせて進めてゆくことで、きれいな訳の作り方が学べます。フランス語を学ぶすべての人に読んでもらいたいほどのオススメ本です。

2文の空欄を同一の多義語で埋める [難]

作業としては正解の1単語を見つけるだけですが、語彙についての深い理解が求められるので難易度は見かけより高いです。

仏検では準1級・1級の第2問に同じ形式の問題が並んでいますね。

過去問にこのタイプの問題がある場合は、単語がもつ複数の意味のそれぞれについて、用法とともに理解を深めていきましょう。

このタイプは高度なクイズのようなもので、たくさん練習問題を解いたからといって飛躍的に伸びるというものではありません。

語彙についての深い知識が必要なため「難」としました。


2文の空欄を同一の多義語で埋める問題の対策本は?

仏検公式ガイドブックセレクション準1級(駿河台出版社)

この出題パターンだけを練習する問題集は見当たりませんが、仏検準1級・1級の第2問がよい練習になります。

仏検対策本はいろいろ出版されていますが、問題数が十分あり、かつ解説がもっとも詳しいのは最近出たこの本でしょう。あくまでも大学入試対策ということで、ここでは準1級の問題集を挙げました。

仏文要約 [難]

仏文和訳ほど精読にこだわらない代わりに、論旨をつかみまとめる「処理能力」が求められることになります。全体のバランスを崩さないよう、配分を考えて字数内にまとめていきましょう

英語の試験にも同様の要約問題はありますが、フランス語の場合は段落の1文目に主張をもってくる等の「パラグラフライティング」の習慣が英語ほどありません

むしろ重視されるのは、ある主張と別の主張をあえて対立させ、両者の落としどころを見つけるという思考・ライティング方法。

DELF、DALFなどではおなじみの書き方ですね。

問題文がこの形式になっていようといまいと、論旨の展開を追ってまとめるうえで、念頭に置いておく必要があります。

また、理解した内容をまとめる際に「国語力」が必要なことは、言うまでもありません。


仏文要約の対策本は?

仏検公式ガイドブックセレクション準1級(駿河台出版社)

「仏文要約」に特化した問題集はないですが、これもやはり仏検の準1級(第7問)・1級(第8問)がほぼ唯一の、詳しい解説つきの練習本でしょう。こちらも大学入試対策ということで、準1級の問題集を挙げていますが、物足りないという人は『仏検公式ガイドブックセレクション1級』にチャレンジしてみるとよいでしょう。

仏作文 [難]

共通テストにはありませんが、2次試験では課されることが多いパターン。
フランス語を書く問題ですが、大きく2種類、

・与えられた日本語の文章をフランス語に訳す「和文仏訳」
・テーマだけが与えられて、内容は自分で決めて書く「自由仏作文」

があります。

どちらも「自分の知っている表現だけで勝負する」という点は同じですが、「和文仏訳」については、語彙・言いまわしをたくさん覚えていて、うまく使いこなせるかという暗記力・運用力が試されます(1文だけの場合もあれば、3〜5文の段落の場合もあります)。

ちなみに過去問を見て「時事用語」の和訳が求められている場合はとくに難易度が高いので、語彙をチェックしておく等しっかり対策しましょう。

「自由仏作文」は、問題の種類にもよりますが、DELFやDALFにも似た書き方の「型」を使いこなせるかを見ている場合があります。

ぞれぞれに難しさがありますが、掘り下げると長くなるので、これについても別の機会に譲ろうと思います。


仏作文の対策本は?

仏検公式ガイドブックセレクション準1級(駿河台出版社)

仏作文とはいえ、まずは単語・表現の暗記が大前提です。熟語などの重要表現については「語法問題の対策本」の欄ですでに挙げた参考書などを使うとよいでしょう。

そのうえで、2次試験の「和文仏訳」対策という意味で形式がもっとも似ているのは仏検の準1級および1級でしょう(上には入試レベルということで準1級のものを挙げています)。このシリーズは他の仏検対策本よりも解説が丁寧なのでオススメです。

クリス・べルアド『フランス語作文ラボ:ニュアンスで使いわけるための添削教室』(白水社)

また、仏作文の上達のためには、どうしてこの表現はOKでこれはダメか、という部分を言語化して理解するのが重要。その意味で、形式面では入試に対応していませんが、間違いやすい表現と比較してフランス語らしい書き方を丁寧に教えてくれる『フランス語作文ラボ』もかなり有用なテキストです。

嶋崎正樹『ル・モンドで学ぶ時事フランス語』(IBCパブリッシング)
作文に特化したテキストではありませんが、「時事用語」をまとめて学びたいときはこれがオススメ。題材が新聞から取られているのでトピックが固めですが、レイアウトもきれいで読解練習にもなります。

【まだ間に合う!】共通テスト・2次試験の対策へ

試験までまだ十分時間のある高1、高2生なら学習用教材を進めていくとよいですが、試験まで半年を切っている場合は、やはり問題集を解き進めるのが王道でしょう。

上のように出題パターンがさまざまある以上「これ1冊で共通テスト・2次ともに大丈夫」というテキストがないことは想像できますね。

いずれにしても教材を探すときのオススメの手順は、

  1. まず自分がどの出題パターンの対策が必要なのかを知る
  2. それに合った対策用の問題集(のセクション)を解いていく

という方法です。対策本の紹介のなかで仏検公式ガイドブックセレクション準1級(駿河台出版社)の登場回数が多くなったのも、実践的なものを選んだためです。

「問題を解いて答え合わせ→解説を読む」というサイクルで弱点を徹底的につぶしていく作業なら、仮に試験まであまり時間がなくても、集中して頑張れば間に合います

それぞれの出題パターンに沿って紹介した対策本も適宜使いながら、試験へ向けて最終調整していきましょう。

まとめ 〜努力を継続するのみ〜

当然ですが、これをすれば短期間で成績が伸びるという魔法のような方法はありません。

暗記科目ではなく「語学」である以上、真剣に勉強を始めてから2〜3か月後から少しずつ成績が上がって行くというのが普通だと思います。

どの能力を伸ばすにしても「継続あるのみ」

時間がかかるので、受験のセオリーどおり、とくに自分の弱いポイントから順番に潰していくようにしましょう。

英語が「当たり前」になりつつある今だからこそ、フランス語をはじめ第2外国語は言語の多様性、差異化につながる強みだと思います。

ぜひ受験勉強で終わらない「その先」を見据えて進んでみてください!

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