【鼻母音・半母音】自然なフランス語に欠かせない鼻からの音・弱い音

 

自然なフランス語に欠かせない【鼻母音・半母音】をマスターしよう

フランス語には母音が19もあります。

とはいえ、通じる発音に近づくために「これだけは絶対!」という口腔母音は12ないし11にまで絞れる、ということで練習のポイントをご紹介しました。

関連記事

本場で通じる発音に近づくためのフランス語【口腔母音】厳選ポイント!フランス語の発音が難しいことは、フランス語を学んでいない人でも知っているほど有名です。それもそのはず、フランス語には母音だけで19ありますから(半母音3つを含[…]

今回はその続きで、4つの鼻母音と3つの半母音を見てみましょう。

 
JUKUCHO
Youtubeのフランス語講座もよろしくネ!

【対応する動画もあるので、あわせてご覧ください!】

「とにかく通じるフランス語」という観点からすれば、口腔母音のほうが優先順位が上ですが(まだの人は先に上の記事↑を読んでくださいね)、フランス語では鼻母音・半母音もかなり頻繁に使います。

とはいえ、口腔母音さえできていればそんなに難しくないので、カフェでも飲みながら気楽にいきましょう!

口腔母音前舌母音[i] [e] [ɛ] [a]
 後舌母音[u] [o] [ɔ] [ɑ]
 複合母音[y] [ø] [ə] [œ]
鼻母音 [ɑ̃] [ɛ̃] [œ̃] [ɔ̃]
半母音 [j] [w] [ɥ]

鼻母音 voyelle nasale

鼻母音は、発音するときに鼻腔が共鳴します。イメージしやすいのは、鼻歌を歌っているときではないでしょうか。

フンフン……♪ と鼻歌を歌いながら、鼻の下に指をあててみましょう。鼻から空気が出ていますね。この感じを大事にしましょう。

舌の位置と唇のかたちは「ほぼ」口腔母音と同じながら、鼻母音を発音するときには、一瞬ですが鼻からも空気が抜けることになります

以下の4つの鼻母音を練習するときは、いつも鼻の下に指を一本あてておいて、ちゃんと空気が感じられるかチェックしながら進めると効果的です!

[ɑ̃]

冒頭に挙げた記事のなかで [ɑ] について見た通り、舌を後ろに引いて奥の方で発音します。日本語の「ア」よりもあごを落として、口をパカッと縦に開くんでしたね。鼻母音なので、これに合わせて鼻からも空気を抜きましょう。
鼻歌を歌いながら空気が鼻から出る状態にしておいて、そのまま口を開けて「ア」と発音すればこの音になります。「口をパカッと開けて」と強調していますが、口の開きが足りないと後で見る [ɔ̃] に近くなってしまうので注意しましょう。
スペルではおもに an, am, en(n), em(m) に対応しています。
[ɑ] (舌が後寄りの丸唇)の鼻母音
・日本語のアよりも口をパカッと開ける [ɔ̃] との区別が大切口を開こう)

 

[ɛ̃]

[ɛ] に対する鼻母音ながら、実質的には口の開きが ɛより少し大きいです。舌は前の方に置かれていますね。「エン」よりは「アン」くらいに聞こえるかも知れません。いずれにしても、[ɑ̃] [ɔ̃] に音が近くならないように気をつけましょう。
スペルではおもに in,im,yn,ym,ain,aim,ein,eim,oin に対応しています。
[ɛ] に対する鼻母音だが、じつは口の開きが [ɛ] より大きい
よりに聞こえる

[ɔ̃]

[ɔ] は「広いオ」でしたが、そんなに口を開けると [ɑ̃] に近づいてしまいます。実際にはむしろ「狭いオ」つまり [o] を鼻母音化したものに近いです。唇をぐっと絞って、舌を引いて、そして何より鼻母音なので鼻から空気をしっかり出して発音しましょう。

スペルではおもに on,om に対応しています。

[ɔ] に対する鼻母音だが、じつは唇が狭く [o] の鼻母音化に近い
[ɑ̃] との区別が大切口をすぼめよう

 

[œ̃]

口腔母音 [œ] は唇のかたちは [ɔ]、舌の位置は [ɛ] という中間的な音でしたね。[œ̃] は、唇をやや丸めて [ɛ̃] を発音するイメージです。音としては「アン」と「エン」の中間で「ウン」くらいに聞こえるかも知れません。

ただし、パリを中心として[œ̃]の代わりに [ɛ̃] を発音する習慣が一般化しつつあります。これは、両者を区別しなくても意味の混乱が生じないからです。数十年後には [œ̃]は消えてしまっているかも知れませんね。

・唇をすぼめて [ɛ̃] を発音する
・現代では [ɛ̃] で代用することも多い

・アンとエンの中間でウンに聞こえる

 

 

半母音 semi-voyelle

半母音とは、その名称の通り母音と子音の中間的な音です。

スペルのうえで母音が連続するとき、そのすべての母音が同じ強さではっきり読まれるのではなく、一部が弱くなって子音に近い音になってしまうのです。

フランス語では、もっとも狭い口腔母音である [i] [u] [y] がそれぞれ弱まった、[j] [w] [ɥ] の3つがこの「半母音」に分類されています。本来の音([i] [u] [y])を非常に短く発音する、というイメージをもつとよいでしょう。

[j]

母音 [i] が弱まったもの。日本語の「ヤ・ユ・ヨ」の音にほぼ相当します。

たとえばpianoというスペルは(強いてカタカナで書けば)ピ・アノ [piano] とはっきり発音するわけではなく、ピャーノ [pjano] というように、[i] が弱い音になります。

この例のように i のスペルの後に母音がくる場合や、y のスペルが語頭あるいは母音の間にくる場合、単語が-ilで終わったり、-illの後に母音が置かれる場合にこの現象が見られます。

[w]

母音 [u] が弱まったもの。[u] が唇をしっかり突き出す音なので、発音する時間が短くなるとはいえ、[w] も一瞬唇が前にちゃんと出ます。日本語だと「ワ」の音に近いでしょうか。

わかりやすい例だと、返事で「はい」というときの « oui » はウ・イ [ui] ではなく、軽めのウィ [wi] ですよね。

このようにスペルでは ou の後に母音がくる場合、あるいは oi(n),oy などにこの半母音を用います。

[ɥ]

母音 [y] が弱まったもの。[y] をごく短く発音するイメージです。

たとえば、夜を意味する nuit は(これもあえてカタカナで書けば)ニュ・イ [nyi] ではなく、ニュイ [nɥi] とほんらい [y] に相当するはずの部分はかなり短く発音されます。

u のスペルに続いて母音字(とくに a,e,i,y)がくるとき、しばしばこの半母音になりますね。

おわりに&動画はこちら

口腔母音に続いて、鼻母音と半母音を見てきましたが、いかがでしたか? 正しい口腔母音に加えて、鼻にかかった音や弱まった母音がうまく出せれば、かなりフランス語らしい発音になると思います。

さて、これでフランス語の母音全体をカバーしたことになります。お疲れさまでした!

この記事の内容は、動画↓の後半でも紹介しています。

とくに鼻母音については、最初は鼻の下に指をあてながら、意識的に暗記していきましょう(じゃないと、日本語にない音なのでついつい鼻母音化を忘れてしまいます)。

半母音については積極的に音を出すというよりは、むしろ発音時間を短くすることで音を弱めることを意識します。こちらはそんなに神経質にならなくても、勉強を続けるうちに自然と身についてくるでしょうから、優先順位としては口腔母音を徹底 → しっかり鼻母音 → 余力があれば半母音という感じになるでしょう。

正しい発音ができる力は、じつは正確なリスニングができる力でもあるので、一石二鳥です。初心者のうちから頑張って身につけておけば、後々かならず役に立つので、諦めずに続けてみてくださいね。

- Twitterも更新中 -