フランス語の動詞活用の覚えかた4つのコツ【動画&アプリも紹介】

仏和辞書や文法書の巻末に載っている動詞活用表。

あの大量の活用をどうやって覚えれば… と途方に暮れる方も多いかも知れません。

この記事では、効果的な覚え方のコツを紹介していきます!

 
JUKUCHO
Youtubeのフランス語講座もよろしくネ!

フランス語の動詞活用表の覚えかたのコツとは?

「膨大な動詞活用表、覚えられるわけない!」

…と諦めていませんか?

たしかに、ひとつの動詞に対してすべての叙法・時制・人称変化を含めるとざっと90通りのパターンが。

とはいえ、ツボさえ押さえれば、ただ機械的に暗記するよりも労力をぐっと減らすことが可能です。

とくに独学の場合は必見。

なお、記事の最後では音声動画・アプリも紹介しています。

コツ1 使用頻度の高い動詞から覚える

突然ですが、質問です。

よく使う動詞と、あまり使わない動詞、どっちを先に覚えたいですか?

…よほどの「変態」でない限り、ふつうは前者だと思います。

フランス語上達をめざす動詞暗記、第1のコツはよく使う動詞を重点的に押さえることです。

では使用頻度が高い動詞とは? 

ここで質問その2。

フランス語の動詞、どのタイプがどれくらいの数あるでしょう?
第1群規則動詞  10000
第2群規則動詞   300
第3群不規則動詞  350

 

そう。じつは現代フランス語の動詞のうち、90%以上が不定形が -er で終わる第1群規則動詞です。

 
じゅくせい
なんだ! じゃあ第1群規則動詞だけ覚えればいっか♪

…と、ふつう思いますよね。

もちろん、第1群規則動詞の変化形を覚えるのは必須です。

でも「それにしては、ふだん不規則動詞を見かける確率が高いな」という気がしませんか?

それもそのはず。

ちょっと次の「フランス語で使用頻度の高い動詞ランキング」を見てください。

1 être
2 avoir
3 dire
4 faire
5 aller
6 voir
7 pouvoir
8 savoir
9 vouloir
10 venir
11 prendre
12 devoir
13 parler
14 falloir
15 regarder

規則動詞がはじめて登場するのは、13位 (parler) です。

よく使われる動詞ほど、不規則になりがちということがわかりますね。

語数としては -er 動詞がほとんどでも、実際によく使われる動詞は第3群不規則動詞に入っているのです!

(というよりむしろ、よく使われるからこそ語形が不規則に変化していった、という経緯があります)

つまり使用頻度の高い動詞から覚えることを意識するなら…

まずは超頻出の être、avoir、それから1パターン覚えてしまえば高い汎用性をもつ第1群・第2群規則動詞、さらに加えて不規則動詞のなかでもよく見かけるものを覚えましょう。

 

 
じゅくせい
じゃあその「不規則動詞のなかでもよく見かけるもの」って? 

…という人は、この記事の最後にも紹介している動画【仏検3級対策】聞き流し!フランス語動詞活用表・厳選30を覗いてみてください。

「仏検3級」で必要な動詞の変化パターンに限って、不規則動詞のなかでもとくに重要・必須の動詞にあえて絞って「聞き流し」形式で紹介しています。

コツ2 使用頻度の高い叙法・活用から覚える

2つめのコツも「必要な順に覚える」というプラグマティックな考えに通じるものです。

活用表が横に長いからといって、すべて一気に覚えようとするのはおすすめしません

ギターで曲を弾く前にすべてのコードを暗記しようとするようなもので、きっと挫折します。

フランス語には、全部で 14 の時制があり(直説法8時制、条件法2時制、接続法4時制)、それぞれに6つの人称変化(1/2/3人称単数/複数)があるので、たったひとつの動詞に対して14×6=84パターンあることになります。

そのうえ不定詞、現在分詞、過去分詞が1つずつあり、また命令形が3パターンあるので90 通りの変化ということに。

なかなか憂うつですね。

とはいえ、地道に行くしかありません。

そのときに、たとえば avoir というひとつの動詞についてこの90通りを一気に覚えようとするのではなく、レベルに応じて順番に、というのが大切

高校や大学で授業を受けている人は進度に応じて出てきた時制を覚えてゆくとよいでしょう。

独学の人は、レベル別に必要な叙法と時制を以下に挙げるので、目安にしてみてください。

仏検5級レベル(標準学習時間 50時間以上)

・直説法1時制 (現在)
・命令法

仏検4級レベル(標準学習時間 100時間以上)

・直説法4時制 (現在/複合過去/半過去/単純未来)
・条件法1時制 (現在)
・命令法

仏検3級レベル(標準学習時間 200時間以上)

・直説法5時制 (現在/複合過去/半過去/大過去/単純未来)
・条件法1時制 (現在)
・接続法1時制 (現在)
・命令法

仏検3級レベルまで来れば、比較的使用頻度の低い他の時制については、さほど苦労しなくても自分の興味に応じて覚えてゆけるでしょう。

ちなみに「比較的使用頻度の低い他の時制」とは、

・直説法単純過去・前過去・前未来
・条件法過去
・接続法過去・半過去・大過去
(参考までに、じつは命令法複合形というのもあります)

ですね。

このように、いくつかの段階を経て、優先順位の高い時制から攻略していきましょう。

命令法に加えて現在分詞・過去分詞は覚える前提として、

【直説法現在 → 直説法半過去 → 直説法単純未来 → 条件法現在 → 接続法現在】の順が一般的です。

なお、この課程で直説法複合過去・大過去は簡単に作れるようになります。

コツ3 時制間で語形を結びつけながら覚える

たとえば直説法現在形が覚えられたとすると、次に半過去形を覚えようと思ったとき、まったく白紙の状態からスタートするわけではありませんね。

活用形のつくり方として、直説法半過去形の語幹は直説法現在形の1人称複数 nous の活用と同じです(êtreは例外)。

ということは、直説法現在形の nous の語幹を取って、あとは活用語尾をつければよい、と結びつけて覚えられます。

同じく直説法現在形との結びつきで言えば、接続法現在形は大部分の動詞に関して、語幹が直説法現在形の ils の活用と同じです。

つまり、ほとんどの動詞において、3人称複数形は直説法現在形と接続法現在形の語形がまったく同じであることになりますね。

 
JUKUCHO
直説法・接続法の3・複・現は一緒!

また、直説法単純未来と条件法現在はどちらも « r » の音が響くのが特徴で、語幹から « r » まではまったく同じ形です。

語尾については直説法単純未来なら « avoir » の直説法現在に近い形 (-rai, -ras, -ra, -rons, -rez, -ront) そして条件法現在については « r » +直説法半過去形の語尾 (-rais, -rais, -rait, -rions, -riez, raient) をつけることになります。

 
じゅくせい
単純未来と条件法現在は r が響く「双子の時制」♪

このように、膨大な変化パターンがあるといっても、互いに無関係に90通り存在しているわけではありません。

文法学習のときに習う、それぞれの時制における動詞変化の「作り方」を暗記のときにも思い出しながら覚えていくことで労力をだいぶ減らすことができます。

ぜひ実践してみてください!

コツ4 4技能を駆使してできるだけ触れる

他の時制との関連も意識しながら、どの動詞のどの活用を覚えるのかがはっきりしたら、あとは地道に積み上げていく他ありません。

ただし、いくつか効果的な方法というのはあって、これは暗記一般について言われることですが、

・書きながら読み、読みながら発音し、発音しながら聞くことを同時に意識する
・ガムをかむなど、顎を動かしながら暗記する
・寝る前に覚えて、起きてすぐ復習する

といったポイントを意識するとよいでしょう。

とにかく触れる回数を増やすことで記憶に定着していきます。

とくに活用表を見ながら、書きうつし、同時に声に出して読み、出した声を自分で聞くというのは4技能を同時に鍛える「筋トレ」のようなもので、とてもおすすめです。

わたし自身、最初は村上春樹の小説に出てくるみたいに、壁に主要動詞の活用表を貼っていつも目につくようにしていました。

「気づいたら呪文のように活用を唱えていた」くらいになるまで、ストイックに活用形に触れ続けてください!

そして覚えるときは、ぜひ次の2点に注意しましょう。

初心者が注意すべき2つのポイント

自己流の発音で覚えようとしない

活用表を暗記するときは、必ず正しい読みを確認しながら覚えましょう。

たとえば第1群規則動詞・直説法現在形の活用語尾が -e, -es, -e, -ons, -ez, -ent だからといって、エ、エス、エ、オンス、エ、エント… と自己流の発音を声に出しながらやっていては、結果的に遠回りです

暗記はどうしても単純作業になるので、退屈しのぎに適当にやりたい気持ちはわかります。

ですが、そこはやるぞ! と気合いをいれて、わからない発音があればCDやアプリ、インターネットで正しい音声を探しましょう。

正しく積み上げていく方が、実質的に正しいリスニングの勉強にもなるので一石二鳥です。

人称代名詞・語幹と合わせて覚える

上に挙げた「エ、エス、エ…」式の覚え方のもうひとつの間違いは、いわゆる活用語尾の部分だけ覚えようとしている点です。

仮に « aimer » の直説法現在・1人称単数形の活用語尾 -e の部分だけ覚えられたとして、ここだけ切り取って発音する機会は永遠に訪れません

ではどんな形で読んだり話したりするかというと、当然 « j’aime » ですよね。

実際には文の他の要素をいろいろと付け加えることになりますが、 « j’aime » がセットであることには代わりありません。

授業を受けていれば、« j’​aime, tu aimes, il​ aime, nous​ aimons, vous​ aimez, ils aiment » の形で唱えて覚えましょう、と教わるはずですが、独学の場合は気付かないまま過ごしてしまうかも知れません。

とくに初心者のうちは、フランス語の動詞活用表を覚えるとき、

1時制に含まれる6つの人称変化を、必ず人称代名詞とセットで、語幹・語尾まとめて頭に入れる

ことに注意しておきましょう。

おすすめ教材&アプリ&音声動画は?

 
じゅくせい
でもどうやって覚えれば…
 
JUKUCHO
そんな人のために、ここではおすすめの教材・学習ツールをいくつか紹介します

本を買う、携帯に入れておく、あるいは携帯を見るだけでいつでも・どこでも活用表に触れられる、そんな学習方法。

活用形に触れる機会をとにかく増やすことが大事なので、とりあえず知っておいて損はありません!

ちなみに、アプリによっては暇つぶしに活用形確認クイズができるものもあるので、すきま時間にもぜひ。

『フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら?』

清岡 智比古『CD付 フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら? (改訂版)』(白水社)

細かい文法事項は捨象して、とにかくフランス語主要動詞の暗記に特化した、類書の少ない一冊。

このシリーズの他の本と同じく、解説がわかりやすいのが特徴。活用形(カタカナ表記つき)を見ながらCDを聞いて覚える方式。なにか動詞暗記に特化した本がほしい場合は、この本がおすすめ。

Vatefaireconjuguer

App Store

?Vatefaireconjuguer, a free verb conjugation tool. Conjugate…

オンライン環境でのみ利用可能なのが少し残念とはいえ、とにかくシンプルな画面が特徴。動詞活用クイズなどはなく、単純に動詞を入力してその活用を調べる、という使い方。デフォルトでホーム画面にはよく使われる動詞が並んでいて、それを調べたいときはクリックするだけでOKというのも、初心者には嬉しい設計。もちろん無料。

La conjugaison française L’OBS

App Store

?Version gratuite avec publicitBesoin de vrifier un verbe av…

フランスの週刊誌 L’Obs が提供する動詞活用サイトのアプリ版(無料)。オフラインでも利用可能。基本的な使い方は同じで、動詞を打ち込めばすべての活用形を表示してくれます。

Vatefaireconjuguer との違いは、ある動詞を調べると、その類語候補を表示してくれることと、動詞活用クイズがあること。クイズについては、動詞の叙法・活用パターンを指定して出題範囲を絞ることもできます。

ぺらぺらフランス語動詞活用変化 – Conjuu

App Store

‎フランス語動詞活用アプリの決定版!効率的、スピーディーに苦手な動詞の活用をマスターできます。試験対策、仏検対策にも…

上記2つのアプリとの違いは、動詞の活用形が調べられるだけでなく、タップでそれぞれの形の音声が聞けるという点。

毎回CDや電子辞書などで音声を調べるのはわりと手間なので、とくに読みに慣れていない初心者にはとても有用な機能。無料版では一部の動詞変化のみ閲覧可能。課金すればすべての時制・動詞を見られるようになります。

聞き流し動画(ふら塾)

動画版ふら塾どっとこむでも、活用表を聞き流せる音声動画を作成しています。

移動中や作業中に活用表を流しておきたい、という方は活用してみてください。

・【仏検3級対策】聞き流し!フランス語動詞活用表・厳選30

再生速度を落とせば書きとり練習にも便利です。仏検3級で出てくる叙法・時制だけ&出題頻度の高い動詞だけに絞って、規則動詞・不規則動詞30を聞き流せるようにしました。

ここに挙げた活用パターンをすべて瞬時に出せるようになれば、仏検3級の動詞活用問題については合格レベルに達しています。

・動詞活用中級 60!

レベルアップバージョン。さらに不規則動詞をふやして、学習効率もアップさせた聞き流し動画です。

・【仏検3級】動詞活用問題でよく出るパターン3選!

またこちらは仏検3級・第2問(動詞活用問題)でよく出るパターンを紹介・解説した動画です。こちらもすきま時間にぜひ。

おわりに

フランス語の動詞活用はパターンが多いので、はじめから一気に覚えようとすると、イヤになってしまうかも知れません。

最初ほどモチベーション維持が大切なので、とくに暗記が苦手な人は、仏検4級レベルくらいまでは、ひとまず活用表丸暗記を後まわしにしてもいいと思います。

(ただし暗記をまったくしていないと、あるところからは先へ進むのが難しくなります)

少しずつでも続けるのがいちばんなので、活用表を壁に貼るなり、文章や歌に触れながらなり、自分に合ったやり方でとにかく活用形にたくさん触れてくださいね。

わたし自身がフランス語を勉強していたときは、アプリや動画を使って… という覚え方をしている人はほとんどいませんでした。

さまざまなメディアが学習に使えるいまだからこそ、思い立ったときにテキストがなくても勉強できるように、普段から準備しておくとよいと思います。

暗記は大変ですが、その先にこそ本当のフランス語力があります。頑張ってくださいね!

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