日仏で違う教え方? 文法とコミュニケーションをバランスよく勉強しよう
突然ですが、「フランス語の勉強」と聞いてパッと思い浮かべるのはなんでしょう?
さっそくアンスティチュ・フランセの講座に登録し、初級からフランス人を前にして、先生の後に続いて発音してみる…… という姿を想像するでしょうか。
あるいは、中学や高校の英語がそうだったように、まずは日本の教科書で文法を…… というのがイメージしやすいでしょうか。
もちろん結論から言えば、どちらのやり方も間違いではありません(というか、どんな方法を使ってでも、上達するならそれでいいわけです)。
とはいえ、ここでハッキリしているのは、「フランス人の後に続いて……」型と「まずは文法をしっかり」型では、そもそもフランス語教授の理念が異なるということです。
フランス式教授法 〜とにかく生きた言葉を〜
フランス語の知識ゼロの学習者が、教室に座っているところを想像してください。
そこへフランス語しか話さない先生がいきなり入ってきて、最初はもちろん何を言っているのかまったく分からないけれど、身振り手振りを交えながら何十日も授業で接しているうちに、徐々にフランス語が身についてゆく……
ザックリ言えば、FLE(=Français langue étrangère / 外国語としてのフランス語教授法)の理念とはこういうものです。
とくにフランス国外でフランス語を広めようとする場合、現地の言語を話せるフランス人が数多くいるとは限りません。
そこで、フランス語ネイティブが、フランス語だけを使って、フランス語を教授できるように考案されたのが、FLEです。授業のなかでフランス人とコミュニケーションをとらざるを得ないので、必然的にその場で聞いたり、話したりが求められることになりますね。
日本式教授法 〜文法を理解して正しいフランス語を〜
これに対して、日本の語学教授法(必ずしもフランス語に限りません)は基本的に、まず単語と文法をしっかり固めるところからスタートします。
なにしろ、FLE式の授業を行うには、フランス語がネイティブレベルの講師が長期的に必要なわけで、全国的にこの方式だけでやっていくというのは難しいですから、当然といえば当然なわけです。
文法説明中心なら、たとえフランス語がペラペラでなくとも、ある程度のレベルさえあれば誰にでもとまでは言いませんが、まあ可能です。博士課程の大学院生が非常勤講師で教える、というのもよくありますね。
いわゆる日本の大学の講義はこちらで、知識を詰め込んでゆく作業が中心になるため、聞いたり、話したりする機会は少なくなりますが、代わりに正確に読んだり書いたりする力を伸ばすのには向いています。
とはいえ、フランス語を実際に使ってみる場がほとんどないので(「実習」単位もあるけど、先生によるよね)、大学で2年間勉強してパリを旅行してみても、パンの買い方が分からない! ということになりかねません。
DELFやDALFと仏検の性質の差も、上に書いたような語学学習の捉え方の違いを一部反映しています。
DELFやDALFは少々文法の知識が疎かでも、円滑なコミュニケーションが取れるかを試すのに対して、仏検はむしろ、コミュニケーション能力が多少低くても正しい知識が身についているかを重視しています。
自分に必要な力を見極めるべし!
で! ここからが大切なところですが、いま自分が「読む」「書く」「話す」「聞く」能力のどこを伸ばしたいのかを明確にすることが、フランス語に限らず、語学学習においては絶対必要だと思います。
……これを意識せずやみくもに進めば、どんな方向に進んでいるのかが曖昧になり、学習効率が下がってしまうからです。
日本の教育を受けて育ったわたし個人としては、まずある程度のところ(だいたいDELF B1=仏検2級レベル)までは日本式教授法にそって進み、それからフランス式教授法へとシフトするのが、効率的かつ経済的なのでは、という気がします。
日仏での勉強のバランスについては、こちらの記事↓で詳しく書いているのでご参照ください。
「語学を上達させるには、ぜったい留学しないと!」とか、「生活していれば語学力は自然につくだろうから、向こうで本格的に」という人がたまにいますが、ほんとうにそう?この記事では、わたし自身の経験をふまえて、「理想の語学力の伸[…]
ただし、これはもちろん、途中まで話したり聞いたりを一切しなくていい、ということではないし、途中からは文法は別に忘れていいというわけではないです。
……というのも、単語や成句、文法事項を頭にたたき込む作業は、どこかのタイミングではどうしても必要で、それってお金をかけなくても、本や解説動画を見ながら自力でもできるからです。
日本の大学受験フランス語や、第2外国語の単位も、別にネイティブの力を借りなくてもできるでしょ? 日本の学習者にとって都合がいいように、そういうふうになっているのです。
ただ、あるポイントから上に行きたいと思うと、今度はフランス式の「生きたことば」の学びが不可欠になります(くどいようですが、それまでは必要ないというわけではないです)。
そうなると、フランス語教室や場合によっては留学で、実際にフランス人とたくさん話すことが大きな効果をもたらすのです。
おわりに
いかがでしたか? 語学学習の方法はさまざまですが、「ふら塾どっとこむ」はフランス語応援サイトとして、とくに初級から中級、そして上級へとつながる学習をいかに効率よく進められるかをモットーに、記事を書いています。
というのも、最上級(C2レベル以上)になると座学もさることながら、むしろ実践の場を積極的に増やすべきだからです。
逆に言えば、サイトやYoutubeのよいところは、「最初から教室に通って……」だと、けっこうなお金を払ってしまう部分を、自力で頑張れるようお手伝いできるところですね。
フランス語に少しでも興味があれば、みなさん一緒に頑張りましょう!