「机に向かっての勉強に疲れた!」
「もっとストレスなくリスニングの練習ができたら…」
どんなに勉強熱心な人でも、そんな瞬間は必ずやってきます。
そういうとき、動画で笑いながらフランス語に触れられたらどうでしょう。
もちろん映画もいいですが、どれを観るか考えたり2時間集中するにもちょっと気合いがいりますね。
素材にはどんな動画を選べばいい?
基本的には自分が楽しんで観られるジャンル&動画を選びましょう。
とはいえ、その際いくつかポイントを絞ると探しやすくなります。
たとえば「動画を観るだけで楽しいフランス語学習」というコンセプトなら、こんな条件にあてはまるものを探すとよいでしょう。
・登場人物の感情表現がわかりやすい
・ストーリーが複雑ではない
・ひとつのエピソードが長くない
・フランス語が聞き取りやすい
・字幕がついている
そもそも映画など長い作品でエネルギーが必要になるのは、物語のなかに入っていくまでの時間です。
「この人は誰? どんな人物?」とか「この後どんなふうに進んでいくんだろう?」などと考えている間に、聞き取れない箇所が出てきて、気付いたら置いていかれたりすることも。
すき間時間に横になって観るだけなら、1秒で話に入っていけるもの、いつ観ても(または観なくても)前後のストーリーが気になったりしないものがオススメです。
また登場人物が大げさなくらいに驚いたり、喜んだりするなど「感情表現がわかりやすい」のも素材として優れています。
過去の記事【10ステップ】フランス語の勉強を始める人むけの独学アドバイスのなかで「イメージを駆使したアウトプットを」のセクションでも書きましたが、自然な会話を聞いて、どんなタイミング・感情でどんな言葉を使うかがはっきりすれば、自分のなかでその表現のイメージを持ちやすくなります。
Un gars une fille はオススメです!
そんな人のために、ここではひとつオススメを紹介します。
対象が中級以上になりますが、Un gars une fille というシリーズは秀逸。
エピソードは1本約6分で、Youtubeでは同じシチュエーション(語学学校、バカンス、朝のシーンなど)ごとに小話がまとまっています。
「中級以上」なのは会話のスピードがやや速いからですが、シンプルに内容が面白いので回によっては初心者でも楽しめるはずです。
↓こんな感じ。雰囲気がつかめると思います
ちなみに gars、fille はそれぞれ若い男女を指す、かなりくだけた言い方です(もう少し標準的な言い方ならgarçon、jeune fille)。
物語はそのタイトル通り、主人公のAlexandra(アレックス、女性)とJean (ジャン、男性)が日常のなかでふざけたり、喧嘩したり、笑いあったりといったドタバタコメディ。
「面白いけどちょっとスピードが速いな」と感じるときは、Youtube の再生速度を少し落としたり、また字幕をONにするとわりと精度の高いトランスクリプトをあわせて見ることもできます。「わりと精度の高いトランスクリプト」といったのは、自動生成字幕では間違っていることもあるから。とはいえ、かなり優秀です。
どの部分が正しいか、というのを自分で判断できるためにも、内容をしっかり把握したい場合は「中級以上」の方の休憩時間にオススメです。
同名のカナダのテレビシリーズがもとになって、フランスで1999年から2003年まで放映されていたものです。現在はオフィシャルYoutubeで視聴可能。
より効果的に観たい人向けの注意点 〜具体例で学ぶ〜
ドライブスルーのシーンを観てみよう
あとは好きなエピソードをベッドやソファの上で好きに観ればいいのですが、あえて見どころというか、「こんなふうに視聴すればより効果的にフランス語学習につながる」というポイントを、具体例で紹介してみようと思います。
この動画の箇所↓です。ドライブスルーのシチュエーション。ジャンとアレックスはコーヒーをふたつ頼もうとしますが…
どうですか? 少しスピードが速いものの、話の内容自体は難しくありませんね。
以下にトランスクリプトと試訳を載せてみます。
F : Bonjour, qu’est-ce que vous voulez ?
いらっしゃいませ。何にいたしましょう?
J : Bonjour, deux cafés, s’il vous plaît.
コーヒーを2つお願いします。
F : Très bien, ce sera tout ?
わかりました。以上でよろしいですか?
J : Ouais. Vous prenez la carte bleue ?
うん。クレジットカード、使えますか?
F : Non monsieur, pas en dessous de deux euros.
いいえ。2ユーロ以下ではご利用できません。
A : Ah non, merde, j(e n)’ai pas de monnaie, loulou.
うっそ。ねえ、わたし小銭ないわ。
J : J(e n)’ai rien non plus.
俺もないな。
A : Allez, soyez sympa quoi !
ねえ、どうにかなりませんか!
F : Non, désolée.
いいえ、すみません。
J : Un bon geste ?
そこを何とか。
F : Bon. Ecoutez, j(e n)’ai pas que ça à faire, alors, si vous ne pouvez pas payer, sortez de la file et il y a d’autres voitures qui attendent !
いいですか。あなたたちだけじゃないんです。払えないなら列を抜けてください。他にもお待ちの車があるので!
音声→トランスクリプト確認→場面をイメージして実践
一般的に言って、フランス語がかなり得意な人でも、映画などで一言一句を正確に聞き取るのは至難の業なので、ご安心を。というか、展開を追うだけならその必要もありませんね。
他の動画であっても「フランス語学習」として観る場合は、基本的にいまの手順を踏みます。
- まずは動画(字幕なし)をふつうに観る
- トランスクリプトを見ながらもう一度聞く
これが音声教材なら「シャドーイング」をするとさらに効果的ですが、動画の場合はむしろ「イメージを駆使したアウトプット」の練習がしやすいのではないでしょうか。
じっさいに自分自身が「ドライブスルー」に来ている場面を想像して(場合によっては身振りなども合わせるとよい)、「クレジットカード、使えますか?」「わたし小銭ないわ」といった表現を、感情をこめて演劇的に言ってみましょう。
もちろん、自分が知らなかった表現を中心に繰り返せばOKです。
この例の場合、フランス語のレベルでは次のような点が勉強になりますね。
・ « Oui » のくだけた言い方が « Ouais » になる
・ « Ce sera tout ? » はお店でよく聞く表現
・ « Vous prenez la carte (bleue) ? » は支払いの時に使える表現
わたし自身も、ふだん映画や動画を観ていて知らない会話表現に出会ったときはそれを単語帳に書いて、どんな場面だったかを合わせてメモして、どんな気持ち・シチュエーションで言うべき表現かを覚えておくようにしています。
そして、自分の生活のなかで次にそういう場面が来たとき、そのセリフでうまく通じるかを試してきました。相手との会話が成立したときは嬉しいものです。
とはいえ、ただ観るだけでも大丈夫
ふつうの休憩ならそこまでしなくても、ただ笑って観ていれば大丈夫だと思います。
動画を笑えるくらいに理解できるようになれば、すでにフランス語力はわりとついているでしょうから。
それにボーッと観ているだけでも「フランスらしさ」が間接的に勉強になることもあります。たとえばこの動画の場合は、文化面でもフランスらしいこんな特徴がよく出ていますね。
・店員が無理だと言っているのに「そこを何とか」で乗り切ろうとする(フランスでは人によって対応が違うので、実際これでいける場合もある)
・店員の方は「無理なものは無理」という姿勢で、一切ゆずらない(フランスでは「しょうがないね。今回だけよ」でやってくれる人もいれば、こんなふうに「絶対ダメ」という人もいます)
・「お客様は神様ではない」フランスでは、店員の方がまくしたてる場面もある(客も店員も一個人なので、下手に出たりはしない)
「机に向かっての勉強」をしているとき、細かいニュアンスなどはイメージしにくいことがあるでしょう。教材中の会話などで「なんでここでこの人、こんなこと言うの?」という疑問は、語学面というよりも文化面に関わっていることも少なくありません。
実際にフランスに生活してみないとイメージしにくい部分があるかも知れませんが、それを少しでも解消してくれるのが、こういう日常的な場面を描いた動画なのです(スパイ映画やホラー映画じゃ、面白くてもあまり参考にはなりませんね)。
Un gars une fille はあくまでも一例としてご紹介したものなので、みなさんもぜひご自身にあった動画を探してみてくださいね!
まとめ
今回はフランス語学習の息抜きにちょうどいい、笑えるショートドラマを紹介しました。フランス語に関係する動画なら、寝っ転がって気軽に眺めていても罪悪感はありませんね。
机に向かっての勉強に疲れたとき、自然なフランス語に触れて元気を回復してみてください。
また「こんなのも面白かった!」というのがあれば、いつでもコメント/メッセージお待ちしています。
ちなみにリスニングについてはこの記事↓でシャドーイングなど効果的な方法と合わせて解説しているので、よければぜひご覧ください。
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