フランス語が聞き取れない? リスニング基礎力をつける方法と教材!

フランス語が聞き取れない? リスニング基礎力をつける方法と教材!

フランス語は聞き取れない…… と思っているあなた。それは正しい方法で訓練していないだけかも知れません。

まずは原因を分析して、どうして聞き取れないのかを明確にしてから対策すると効果的ですね。

今回はリスニング力を上げる方法とおすすめ教材をあわせて紹介します!

 
JUKUCHO

聞き取れない原因 (1) 発音の練習が足りていない

発音できない単語は聞き取れない!

意外かも知れませんが、リスニング力がうまく伸びない原因のひとつに、発音練習の不足があります。というのも、自分が発音できない単語はまず間違いなく、聞き取れないからです。

授業などではいつも言っているのですが、単語は発音記号と一緒に覚えましょう!

たしかに、発音記号を見て正確に音が出せるようになるには少し時間がかかりますが、結果的にはそちらの方が早道です。

日本語と比べてフランス語は母音の数が多いです(口腔母音が12、鼻母音が4つ、そして半母音が3つ)。

それぞれの発音についてはこの動画↓で説明しているので、よければ参考にしてください。

「口腔母音」と「鼻母音」の正しい出し方をマスターするだけでも発音はかなり変わります

まずは口腔母音、次いで鼻母音(と余力があれば半母音)をできるだけ正確に発音できるように訓練しましょう

続いて子音がありますが、すでに英語を勉強している人も多いでしょうし、こちらはさほど難しくないでしょう(フランス語特有の /ʀ/ だって長くとも1か月もあれば出せるようになります)。

個々の発音がある程度わかってきたら、リエゾンやアンシェヌマン、エリジョンといった、組み合わせによって音が変化するパターンに慣れてゆく必要があります。

ここで発音の規則をすべておさらいすることはできませんが、自分で正しい発音ができることがリスニングの大前提にあることを忘れないでください。

聞き取れない原因 (2) 単語や表現の暗記が足りていない

初級のうちはとにかく覚えまくる… でも方法が大切

当たり前ですが、いかに発音の勉強が完璧でも、声に出されている単語や表現をそもそも知らなければ、どれだけ頑張っても「音」が「意味」には結びつきません。発音の規則をマスターしていれば、それでもスペルを思い浮かべることくらいはできるかも知れませんが……

念のために言っておくと、フランス語が聞き取れる、というのは突き詰めれば「フランス語で思考ができる」ということです

聞こえた文章を毎回頭のなかで翻訳しながらリスニングをしていては、確実に遅れてしまいますね。

単語や表現の暗記は、その境地へ近づくためのいわば基礎訓練なのですが、それでもより早く「使える」フランス語に到達するための「コツ」があります。

効率のよい修得をめざす場合は、以下の2点に注意しながら、単語と決まった表現をとにかく次々覚えましょう

単語は発音記号を声に出しながら覚える

まず単語を暗記するときには、ちゃんと「発音記号」が載っている教材を使って「発音記号」を見て唱えましょう

発音記号の読み方がわからない? それは上の原因 (1) ですね。発音記号を先に勉強しておくのが結果的には近道なので、上に紹介した記事なども参照しながら頑張ってください。

1週間後にパリに旅行するなど、すぐに「なんとなく」の読みを知りたいという場合以外、カタカナ表記が書かれた単語帳は、個人的にはあまりおすすめしません。

また、後述するようにフランス語は最終音節にアクセント(といっても、少しゆっくり発音するだけで大丈夫)が置かれることが多いので、この点も意識しながら単語を覚えてゆくと、のちのち便利です。

表現は文章に埋め込んで文脈ごと覚える

もうひとつの注意点は、語法や表現、言いまわしをそれだけ単独で覚えないことです。どういうことかというと、たとえば « quitter » という動詞がよく他動詞で用いられる、と覚える場合に « quitter 他動詞 » とか « quitter COD (直接目的補語) » と何度も書くのではなくて、短くてよいのでできるだけ具体的な文章で覚えるようにしましょう

「私はパリを離れる」というのは « Je quitte Paris. » であって (×)Je quitte de Paris. ではありません。これを語法だけ取り出して覚えたのでは、フランス語で瞬時に情報が出てこず、なかなか話せるようにはなりません。というのも「quitter 他動詞」という文法事項が、しかも日本語でワンクッション挟まっているからです。

 
じゅくせい
être d’un(e) + 名詞は感嘆文! って昨日覚えたのに……
 
JUKUCHO
今からでも Ce livre est d’un grand intérêt ! (=Ce livre est très intéressant) を合わせて覚えれば大丈夫!

どうすればよいかというと、 « Je quitte Paris. » をそのまま覚えるのです。あるいはJe を自分の好きな人の名前に、Paris をその人が住む街の名前に変えてもいいでしょう。

さらにおすすめなのは、そんな文章を感情を込めて読むことです。ほんとうにその人がどこかへ行ってしまうような気持ちになって覚えることで、記憶力が高まります。

とにかく印象深い文章をそのまま暗記しておけば、語法が正しく覚えられるうえ、違う文脈にもより簡単に応用できるようになります。

そして、たとえば次に « Ne me quitte pas » (ジャック・ブレルのシャンソンですが) という表現に出会ったとき、「構造が同じだ!」とすぐに分かるうえ、「ああ、me はこの場合この位置に来るのか」などと発見が重なってゆき、やがて自分でも使えるようになります。

そしてもちろん、気づくと « quitter » が聞き取れるようになっているでしょう。

聞き取れない原因 (3) リスニング時間が足りていない

リスニング力をつけるにはリスニング!

わたしがリスニングで伸び悩んでいた頃、フランス人の先生に相談すると「聞こえるようになるためには、とにかく聞くこと、聞くこと、聞くことです」と言われた経験があります。

ちなみに、スピーキングの相談のときはとにかく「話せ、話せ、話せ」と。ただし「ぼんやりと」聞き続けても大きな上達は見込めないでしょう。

練習のときに何より気をつけるべきことは、漫然と聞き流さないこと

筋トレのときに動かしている筋肉を意識しながらの方が効果的なのと同じように、意識を耳に集中して、音声の情報を聞き漏らすまい! と思いながらの方が断然力がつきます。

ランゲージエクスチェンジや個別授業が効果的な理由のひとつは、目の前にいる相手の言葉をしっかり聞き取ろうという意識が働くことですね。

じっさいのリスニング力のつきかたとしては、たぶん最初はある連続した音の一部がなんとなく像を結ぶ、という感じになると思います。

語彙・表現の練習と合わせて続けていれば、徐々に(数か月単位で少しずつ)その聞き取れる「一部」が広がってゆき、気づいた時には全体の意味がわかった! という時がくるはずです。

意識的なリスニングにはシャドーイングが有効

 
じゅくせい
「意識的に」といってもどうすればいいの?
 
JUKUCHO
シャドーイングはおすすめの練習だよ!

ひとことで「意識的に聞く」と言っても、頑張って集中するには限界があります。方法に悩んでいる人は、騙されたと思ってぜひ一度「シャドーイング」を試してみてください

シャドーイングとは、次々と流れてくる文章に影 shadow のように続いて読んでゆく練習方法です。同時通訳者の養成にも採用されている本格的な訓練で、リスニング、リーディング、スピーキングの力が同時に鍛えられるので、非常に有効な勉強方法として注目されています。

具体的には、音声とトランスクリプトのある教材を用意したうえで、次のように進めると効果的でしょう。目的は正確に音を取り、発音できるようになることなので、無理なく聞き取って続けられるレベル、自分のイメージよりも少しだけ下のレベルのリスニング教材がよいと思います

 

  1. シンプルにリスニング

    内容をいっさい知らずにシャドーイングは難しいので、まずは一度(できればトランスクリプトなしで)聞いてみて、おおまかな内容をつかんでみましょう。

  2. 音声だけでシャドーイング

    大体の話題がわかったら、何も見ずに聞こえてくるフランス語の後に続いて(少し遅れて)発音してゆきます。繰り返すうちに力はついてゆくので、多少つまづいても心配せず、どんどん先に進みましょう。

  3. トランスクリプトを見てみる

    歌の歌詞でもそうですが、音だけでは「かっこいいけどなんて言ってるの?」という瞬間が必ずあります。細かい部分をフォローするために、わからない箇所はトランスクリプトで確認しましょう。ただ、あくまで「シャドーイング」がメインなのでこだわりすぎて語彙や文法の勉強に深入りしないように注意。

  4. トランスクリプトを見ながらシャドーイング

    この段階ではある程度、発音や意味がつかめてきているはず。あとはどんどん音声に近づけていきましょう。このとき場合によってはトランスクリプトに印を入れながら、アクセント、リズムグループ、イントネーションに配慮してシャドーイングをするとさらに効果的。

  5. 音声だけでシャドーイング

    いよいよ総仕上げです。あらためて何も見ずに、リズムや調子も含めてシャドーイングを繰り返しましょう。自分の声を録音して聞き直し、音声との違いを強く意識して修正してゆくことも効果的です。「なにか違うな」という感覚的な部分が大切なので「雰囲気」を疎かにせず、音声に近づけていきましょう。

 

以上の練習を繰り返すとき、スピーキングの力も合わせて引き出すためには、自分がまさにいま、そのトランスクリプトの内容を誰かに説明しているのだ、とイメージしながらシャドーイングをするとよいでしょう。

「意識的になること」が大事だとすでに書きましたが、自分が人前で話をしていると「想像」しながら発声するだけで、伝えやすい言葉の呼吸に近づくことができます。騙されたと思って、試してみてください!

アクセントとリズムグループにも注意して

上で、シャドーイングを行うときにはアクセント、リズムグループにも注意してと書きましたが、これらはどのように掴めばよいのでしょう?

フランス語の場合、そもそも単語の発音がちょっと難しいうえに、英語のようにはっきりした強勢があるわけではないので、後回しになりがちな「アクセント」。しかし、言葉は実際の人間が発するものなので、リスニング力を高めるうえで文章の「呼吸」はとても大切な要素です。

とはいえ、フランス語のアクセントは比較的シンプルです。英語のようにアクセントの置かれる位置の音を高くしたり、強く発音したりといったことは少なく、むしろ「少しゆっくり発声する」だけでフランス語っぽくなります。

たとえば、 « Bonjour » を発音するとき前半「ボンBon」と後半「ジュールjour」に同じ時間をかけて発声するより、後半を少し伸ばして「ボンジューール」とした方がフランス語らしくなりますね。

このとき、音の「高さ」や「強さ」はあまり変えなくても大丈夫です。

アクセントの位置についても難しくはなく、基本的には一単語であれば最終音節が少し長くなり、文章であればリズムグループの最後の部分が少し長くなります

« Il fait beau aujourd’hui » なら、« Il fait beau » で3音節、 « aujourd’hui » で3音節ですね。この場合、全音節に同じ時間をかけるのではなく「イルフェボーオージューデュイ [il fε bo o-ʒuʀ-dɥi]」の「ボー [bo]」と「デュイ[dɥi]」に、他の音節の1.5〜2倍長い時間をかけるイメージです。

「リズムグループ」という言葉が出てきましたが、これは文章が発音されるときに生じるいくつかの「まとまり」のことですが、区切り方に厳密なルールがあるわけではなく、個人の話し方や状況によって変化します。

フランス語に限ったことではありませんが、長い文章を一息に読むことはできませんね。

基本的にはコンマの位置で切る、前置詞の前で区切る、接続詞の前で切る、que など節の前で区切る(そして区切ったリズムグループごとの音節数は大体同じになる)といったことが多いですが、あまり神経質にならず、リスニングやシャドーイングを繰り返すなかで感覚を掴んでゆくのがよいでしょう。

また次に挙げるように、リズムグループを学ぶための教材もあります。

リスニング上達へ向けたおすすめ教材

 

 
じゅくせい
とにかく勉強したいから、おすすめ教材を教えて!
 
JUKUCHO
じゃあ本当に役立つ教材をいくつか紹介しますね

じっさいにどの教材を選んだらよいか迷っている人へ向けて、以下では個人的におすすめできるフランス語教材を、リスニングに特化して3つ挙げてみます。

・藤田裕二、 ミドリ・ティオリエ『CD付 フランス語シャドーイング入門: 聴くと話すが同時に身につく』(ディーエイチシー)

カタカナ表記にはなっているものの、その限界にも冒頭できちんと言及していて、誠実さが窺えます。

内容はそれぞれのテクストについて、リズムグループやアクセント、発音の注意点に配慮しながら読み方のポイントを押さえてゆくというもの。

多読というよりは、丁寧にひとつひとつの音を確認してゆくことで着実に力をつけることを主眼に置いています。

・アレクサンドル グラ、フランク デルバール他『フランス語リスニング』(三修社)

段階的にレベルの上がってゆく教材(トランスクリプト付き)で、少しずつ力がつくように構成されています。

速度もはじめは比較的ゆっくり、後半は自然な速度に近づいてゆくので、着実に章を重ねてゆけるはず。

信頼できるテキストで、繰り返し聞く練習におすすめ。

・Christian Kessler、山下 利枝『改訂版 口が覚えるフランス語 スピーキング体得トレーニング』(三修社)

音声を聞きながら、文章単位で表現を覚えてゆく、フランス語では類書のあまりない貴重な一冊。

最初は難しく感じるかも知れないが、日本語に続いてフランス語が瞬時に思い出せるようになる頃には、語学力はずいぶん上達しているはず。わたし自身も音声を携帯に入れて繰り返し聞いていました。

まとめ 〜いちばんの近道は諦めずに続けること

いかがでしたか? 語学のよいところは、努力さえすれば誰でも力が伸ばせるところです。

私自身もそうでしたが、リスニング力開発にはとにかく時間がかかります。
最初は聞き取れなくても、ネイティブじゃないので当たり前。

きちんと聞き取れるようになるまでには、悩んだりくじけそうになったり、そうかと思えば突然少し理解できて嬉しかったり、いろんなことがありますが、1日10分でもいいので、とにかく毎日続けることが一番の近道です。

みなさんも目的のためにどうか諦めず、自分を信じて頑張ってください!

P.S.「どうしてもモチベーションが続かない…」という場合は、短期間でも語学学校に通って耳を強制的に鍛えるのも手ですね。

対面またはオンラインで学ぶ機会については、こちらの記事↓でまとめているので参考にしてみてください。

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