【フランス語口腔母音】本場で通じる発音に近づくための厳選ポイント

本場で通じる発音に近づくためのフランス語【口腔母音】厳選ポイント!

フランス語の発音が難しいことは、フランス語を学んでいない人でも知っているほど有名です。

それもそのはず、フランス語には母音だけで19ありますから(半母音3つを含む)。子音の方は「なんとなく」で出せても、母音は意識して発音しないと正確に出せるようにはなりません。

日本語の場合、あいうえおの5音が主だとすると、19の音を使い分けられるようになるためには、少し訓練が必要なのです。

 
JUKUCHO
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「私はまだ勉強を始めたばっかりだから、発音は後でいいや」と思ったあなた! いやいや、最初だからこそ発音記号の読み方を知っておいた方が後がラクです。

これから学ぶ単語すべてを、「発音記号」(上のような記号)で読みを理解しながら暗記できたらどうでしょう? カタカナ表記や自己流でテキトウに発音しながら覚えて、けっきょく後で正しい発音を覚え直すよりも、ずっと効率的ではないでしょうか。

とはいえ、どうやって訓練すれば?! ひとまず教材を聞き込む以外に、どうやって身につけたらいいかわからない、という人も多いでしょう。

この記事では、母音の発音の仕方を1から紹介しています。

教科書に載っている口腔断面図や解説を見てもイマイチよくわからなかった、という人もいると思うので、あえて感覚的な表現も踏まえて、丁寧に見ていきます。

とくにこの「感覚的な表現」(どういうイメージで音を出すか)は、本や他のサイトではあまり記述を見かけないけれど大切なポイントになるので、しっかりマスターしてくださいね!

【この記事に対応する動画もあるので、あわせてご覧ください!】

母音の種類(口腔母音・鼻母音・半母音)

まず、母音が19あると書きましたが、さらに詳しくみると口腔母音が12、鼻母音が4、半母音が3という内訳になっています。

口腔母音前舌母音[i] [e] [ɛ] [a]
 後舌母音[u] [o] [ɔ] [ɑ]
 複合母音[y] [ø] [ə] [œ]
鼻母音 [ɑ̃] [ɛ̃] [œ̃] [ɔ̃]
半母音 [j] [w] [ɥ]

一見複雑そうですが、フランスで通じる発音ができるようになるために、とにかく覚えてほしい音は、ひとまず12の口腔母音(しかも、後述のとおり現代ではa/ɑの区別がないので、実質的には11)に絞ることができます

口腔母音ができれば、鼻母音と半母音は(少なくとも音の出し方としては)そんなに難しくないからです。

12(ないしは11)の口腔母音さえマスターできれば、一気に通じるフランス語に近づくことができるので、まずは発音記号を見て正しい音が出せるようになるまで、根気よく練習してみましょう!

口腔母音 voyelle orale

まずはもっとも基本的な母音です。

前舌母音 voyelle antérieure([i] [e] [ɛ] [a])は舌が前寄りで、唇が横に平べったいかたち、後舌母音 voyelle postérieure([u] [o] [ɔ] [ɑ])は舌が後ろ寄りで、唇は突き出されて丸みを帯びています。複合母音 voyelle composée([y] [ø] [ə] [œ])はいわばその合いの子で、舌が前寄りながら、同時に唇は前に丸く突き出すというものです。

[i]

歯磨きのときなど、自分の歯を見るときに「イー」っとしますね。あのイメージです。唇は左右に強く引いて、舌は盛り上がっています。舌先で下の前歯の裏を押す感じ。日本語の「イ」よりも緊張していますね。

スペルではおもに i,î,y に対応しています。

・唇を左右にしっかり引く(歯磨きをイメージ)
・舌先で下の前歯の裏を押す

 

[e]

[i] よりは少しあごが下がって、口がわずかに開いています。舌は前方で盛り上がり、舌先はやはり下の前歯の裏を押しています。日本語の「エ」より狭く鋭い音に聞こえます。

スペルではおもに er,ez,é に対応しています。

・やはり唇を左右に引く
・日本語のエより閉じた「狭い エ」

・舌先で下の前歯の裏を押す

 

[ɛ]

さらにあごを下げて、日本語の「エ」よりも上下に大きく開いた口にしましょう。[i] や [e] に比べると、舌の盛り上がりは少し下がって、やや前方で平たくなっているのがわかりますね。

スペルではおもに e,è,ê,ai,ei に対応しています。

・日本語のエより開いた「広い エ」

 

[a/ɑ]

[a] については、日本語の「ア」よりも唇が平たいですが、わざわざ左右に引いている、という感じはありません。舌先は舌の前歯の裏に軽く触れています。日本語の「ア」よりも口が開いた、明るい音色になるでしょう。

スペルではおもに a,à,â に対応しています。

まずはこの音ができるようになりましょう。一方で、これとは違う [ɑ] の音も存在するのですが、現代では [a] との区別がなく、実質的にすべて [a] と発音します。とはいえ、鼻母音を発音するときなど、一部この [ɑ] も登場するので、一応見ておきましょう。

[ɑ]については、舌を後ろに引いて、奥の方で発音します。唇は丸みを帯びています。あごを落として、口をパカッと縦に開いたイメージですね(そうすれば自然と舌は後ろ寄りになるはず)。日本語の「ア」よりも口の開き方が大きく、[a] に比べると、暗い音色になります。

・[a] は舌が前寄りの平唇・明るい音
・[ɑ] は舌が後寄りの丸唇・暗い音
・現代ではすべて [a] になる傾向

 

[ɔ]

日本語で「オ」のつく単語を言ってみましょう(たとえば「おにぎり」とか)。その「オ」よりも口を広く開き、舌を後ろに引きます。[o] と区別して「広いオ」とも言われますね。唇は丸めで、前に突き出します。

昔、学校の合唱コンクールなどで「口をもっと開いて!」と言われませんでしたか? 声量はともかく、唇を丸めて前に出すことと、舌を引くことを意識すれば、口のかたちはあのイメージです。

スペルではおもに o に対応しています。

・日本語のオより開いた「広い オ」(合唱をイメージ)
・唇を丸めて、舌を後ろに引く

 

[o]

[ɔ] と区別して「狭いオ」とも言われますね。日本語の「オ」よりもずっと狭い音で、唇を丸めたまま前にぐんと突き出して、舌を後ろに引きます。太いストロー、たとえばタピオカを飲むときのようなストローで吸うときを思い出してみましょう。あのときの唇のかたちのまま、舌を引いて「オ」というイメージです。

スペルではおもに o,ô,au,eau に対応しています。

・日本語のオよりずっと閉じた「狭い オ」(太いストローで吸うときのイメージ)

 

[u]

唇を丸めてかなり前に突き出しましょう。舌は後ろに引いて奥の方で発音します。日本語の「ウ」よりもこもった、暗い音になりますね。

あるいは、別の出し方としては、唇を丸めてぐっと突き出すところまでは同じですが、その状態でわずかに上唇を引き、舌唇は逆に前にずらして空気の通り道を小さく作ってみます。その細い通り道から、口の中の空気を一気に吹き上げる感じ。この場合、空気の量に対して通り道が細いので、ほっぺたが一瞬ポコッとふくらみます。

スペルではおもに ou,où,oû に対応しています。

・唇を突出し舌を引いて口の奥で出す
– or –
・下唇を突出し、上唇との間を少し開けて空気を上方に細く吹く

 

ちょっと休憩 [i-e-ɛ-a-ɑ-o-ɔ-u] をやってみよう

 
じゅくせい
なんとなくわかるけど、ほんとにこの発音で合ってるのかな?
 
JUKUCHO
舌の位置と唇のかたちをまとめて確認するのに、いい練習方法があるよ!

さあ、これで前舌母音、後舌母音が終わりました! お疲れさまです。

でも、ひとつずつなら雰囲気はわかっても、舌の位置と唇のかたちの違いは微妙なので、ほんとうにこれで大丈夫? と不安に思うこともあるのではないでしょうか。そういうときのための練習法に、[i-e-ɛ-a-ɑ-o-ɔ-u] を連続で発音するというものがあります。

リズムをとるため&口のかたちの確認のために、一応使用頻度の低い[ɑ]も加えて、一度順番に発音してみましょう。……どうですか? 舌の位置が前寄り→後ろ寄りに、唇のかたちが平たい→丸いに徐々に移っているのがわかると思います。

同じように、逆からも [u-ɔ-o-ɑ-a-ɛ-e-i] とやってみましょう。舌の位置と唇のかたちがかぶらないように、少しずつ調整して、それぞれの音を正確に出せるように注意しましょう! 最初は慣れないかも知れませんが、これを毎日繰り返せば、比較的短時間でここまでの母音は出せるようになるはずです! 頑張ってくださいね。

[y]

唇は [u] とおなじようにぐっと前に突き出し、一方舌は [i] と同じように、舌先で下の前歯の裏を押すようにします。[i] と発音しながら唇だけ小さく丸める、あるいは [u] と発音しながら舌だけ [i] の位置にもってくる、というふうにすれば出しやすいかと思います。

別の出し方としては、こういうのもあります。まず唇を思い切り前にすぼめて突き出し、[u] のときとは逆に下唇を少し引き、上唇を前にずらして、空気の通り道を作ります。その細い道から、下方に空気を吹き下げるようなイメージで「ユ」に近い音を出すと、この音になります。口笛を吹くときの感じが近いですね。

スペルではおもに u,û に対応しています。

・唇は突き出して [u] の形、舌の位置は [i]
– or –
上唇を突出し、下唇との間を少し開けて空気を下方に細く吹く(口笛のイメージ)

 

[ø]

唇はoとおなじように前に突き出し、一方で舌はeと同じようにやや前方。ただし、舌が前に寄り過ぎると「ユ」に近くなってしまうので注意。eと発音しながら唇だけ小さく丸める、またはoと発音しながら舌だけeの位置にもってくると、出すことができます。フランス人が迷ったとき、何かを考え中のとき « euh… » と言うのは、この音ですね。

スペルではおもに eu, œu に対応しています。

・唇のかたちは [o]、舌の位置は [e]
・舌を前に出しすぎないよう注意
・迷ったときの euh…

 

[œ]

唇のかたちはɔのように広く開け、舌の位置はɛのように、舌先を軽く下前歯の裏につけます。ɛと発音しながら唇だけ丸める、あるいはɔと発音しながら舌だけɛの位置にもってきましょう。このとき、舌が後ろに下がりすぎないように注意。強いて言えば、日本語の「ア」あるいは「ウ」に聞こえます。

スペルではおもに eu,œu,euil に対応しています。

・唇のかたちは [ɔ]、舌の位置は [ɛ]
・日本語のアあるいはウに聞こえる

 

[ə]

フランス語で、唇や舌が緊張しない唯一の母音(弛緩母音)です。ø と œ の中間的な音と言われ、話者によってはこれらの音と区別しない場合もあります。発音の仕方としては、まずøを発音しながら、口の緊張を緩めてみましょう。舌が宙ぶらりんになるような印象があるかも知れません。弱い母音なので、実際の発話では、そもそもこの音が脱落することも多いです。

・[ø] と [œ] の間
・[ø] から唇と舌を緩める(弛緩母音)
・音として脱落することも多い

 

おわりに & 動画はこちら

通じるフランス語に不可欠な母音の発音を見てきましたが、いかがでしたか? 

とにかく難しそう! という人、くどいようですが、まずは「口腔母音」だけで大丈夫です! [i-e-ɛ-a-ɑ-o-ɔ-u] や [u-ɔ-o-ɑ-a-ɛ-e-i] を毎日練習して、そのときの舌の位置と唇のかたちを基準に、[y] [ø] [ə] [œ] をマスターしましょう。

そしてここまで出来てしまえば、鼻母音なら鼻から音を抜けば、半母音ならすばやく発音すれば正しい音がわりと簡単に出せてしまいます。

ただし「いつ・どんな場面でも」正確な音が出せるようになるかには、当然ながら意識と慣れが関わってきます。

詳しくは、こちら↓をご覧ください。

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単語を覚えるときにも、できれば発音記号つきの単語帳を使って、口のかたちを意識しながらひとつずつ丁寧に押さえていけば、最短距離で正しいフランス語を身につけることができると思います。

みなさんのフランス語ライフが前途洋々たるものでありますように。

母音の正確な発音に、ぜひ挑戦してみてください!

↓この記事に対応する動画はこちら!

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