フランス(ヨーロッパ)への留学相談を受けていると「興味はあるけど、大学年度がズレるから就活の時期が心配…」という声がよくあります。
たしかに留学の時期によって、日本の就活ペースとは少し変わりますが、むしろ留学先にいながらにして「ポテンシャル採用」が行われるという意味で、しっかり準備すればチャンスの方が大きいとも言えます。
今回はこの辺りについて、いま留学している方・今後の留学を検討している方むけに、留学生だからこそ陥りやすい注意点とあわせて説明してみようと思います!
日本より有利?! キャリアフォーラムで留学を就職につなげよう
タイトルにもありますが、留学を就職につなげる大きな鍵、それはキャリアフォーラムです。
ご存知ない方は、ぜひこちらの公式サイトから確認してみてください。
秋(10-11月)のボストン、あるいは欧州への留学生にとっては春(4月)のロンドンが有名ですが、東京をはじめ他の地域でも開催されています。
まず前提として、キャリアフォーラムは日本の就活でイメージするような合同説明会とはまったく性質が違います。
そして CFN の公式サイトに「バイリンガルのための就職・転職サイト」とあるように、必ずしも学部卒のためのイベントではなく、修士や博士、あるいは就業経験ありの人まで、幅広い可能性にあふれた会場なのです。
後述するように「マジック」と呼ばれるような吊り橋効果(?)的な現象まであるほど、熱気にみちた一大イベントなのです!
以下ではどうしてこのキャリアフォーラムが留学生の強い味方なのか、詳しく見てみましょう!
ただの合同説明会じゃないキャリアフォーラム
「キャリアフォーラムって、大きい合同説明会みたいなやつでしょ」と思ってませんか?
じつはまったく違います!
というか、そうでないと留学生の間でこんなに話題になって、就職を考えている人がこぞって行くわけがありません。
以下では「内定が出る」「マジックがある」「海外なのにポテンシャル採用」という3点に絞って、留学しているからこそ体験できるキャリアフォーラムの魅力をお伝えしたいと思います!
その場で内定も!
よくある就活イベントとの違いはいろいろありますが、一番はその場でインターン枠が決まったり、場合によっては「内定」まで出てしまうことでしょう。
キャリアフォーラムでは、わざわざこのイベントのために、採用決定権をもった担当者が日本から来ている場合が多いです。
「キャリアフォーラム」で写真を検索すると「青いゾーン」と「白いゾーン」が分かれている画像があります。
「青いゾーン」はウォークイン(Walk-in)と呼ばれる、企業ブース訪問ができるエリア。これは同種の他のイベントでもよくありますね。
特別なのは「白いゾーン」で、なんとその場で面接が行われています。
自己PRは登録の時点ですでにオンラインで送ってあるので、書いた内容に即して話をするという流れに。
自己PRやそもそも就活にのぞむマインドづくりについては、書き出すと長くなるし趣旨からも少し逸れるので、この記事では割愛します。
調べれば分かるように関連書籍は大量に出ていますが、あえて一冊だけオススメするとすればこちら。
根本的な部分から説明されているので、留学経験の有無にかかわらず読んでおいて損はないと思います。
ならではの「マジック」あり!
キャリアフォーラムでは、採用決定権をもった担当者が日本から来ていると上に書きました。
担当者も人間である以上「せっかく来たんだから…」と意気込むのは想像がつきますね。
つまり、通常の採用面接ならば内定を出さないようなパターンでも出してしまう「キャリアフォーラム・マジック」があり得るのです。
じっさい、行ったことのある方なら分かりますが、キャリアフォーラムは受ける側も迎える側もすごい熱気で、少し特殊な雰囲気になっています。
わたしが留学アドバイスをしていた学生の方にも、自信がなかったけどキャリアフォーラムで大手に就職が決まった! という人がけっこういました。
日本とは違う空気感のなかで大きなチャンスを掴めだという、留学ならではのメリットですね。
海外に居ながらの「ポテンシャル採用」がアツい!
どうして「キャリアフォーラム」にチャンスがあふれているかというと、海外なのに日本らしい「ポテンシャル採用」が基本だからです。
というのも、海外の場合、インターン経験・就業経験があるなど即戦力になる人材を求める場合が多いです。
たとえばフランスでは、修士課程の卒業要件に「インターン経験」が入っている場合も少なくないですね。
これに対して、日本の就活生は全員がインターンをするわけではありません。
つまり、実績が何もなくても、経験をうまく語ることができれば「この人にはこんなポテンシャルがあるから、うちの会社のこういうポジションでうまくやってくれそう」と採用してもらえるわけです。
留学を経験している時点で「グローバル人材」であることを示すベースはあるので、あとはどんなふうにアピールするかだけ。
ただし、逆説的ですが「グローバル人材」であることを押しすぎてはいけません。
以下ではアピールの際の注意点を見てみましょう。
留学生だからこそ留学アピールに偏らない
キャリアフォーラムの規模やふつうの合同説明会との違い、熱量がわかって頂けたと思います。
と思うかもしれませんが、ここで要注意!
こんなアピールポイントを書こうとしていませんか?
- 海外留学を通して、異文化理解が深まりました!
- 現地の滞在で、語学力が飛躍的に向上しました!
留学生だからこそ、こうした強みがあるのはよく分かります。
ただ、日本の就職面接でなく「キャリアフォーラム」である以上、企業側はそんなことはすでに分かっています。
「キャリアフォーラム」の会場を考えてみれば、異文化理解や語学力は当然身についている人たちが集まっているのは想像できますね。
「企業が求める力」とは、グループが問題に直面したとき、自分で解決方法を考えて乗り越えて行けるような思考力です。
誰もすぐには答えの分からないような事態が生じたとき、こんな問いを立てて自分で進んでいける人がいたら心強いと思いませんか?
・その問題を解決できるとしたらどんな可能性があるか?
・では具体的にどうすればその解決まで導くことができるのか?
シンプルといえばシンプルで、重要なのは課題設定能力と問題解決能力です。
キャリアフォーラムとはいえ日本的な「ポテンシャル採用」が特徴と上に書きましたが、アピールポイントについてもクラッシックな手法を意識しましょう。
準備が命。問題→乗り越えた体験を伝えよう
上記を総合すると、キャリアフォーラムでは「ポテンシャル採用」、つまりインターンなどでの実績がなくても「この人はどんな力を発揮してくれうるか」が基準になり、そのとき鍵となるのは課題設定能力と問題解決能力です。
ならば、課題設定能力と問題解決能力の根拠を示すエピソードを用意しましょう。
- 学生イベントを主催した
- 海外で国際交流サークルを立ち上げた
など、アピールできればエピソードはなんでも大丈夫です。
ただし大事なのは、自分のコミュニケーション能力や語学力の方に話を持っていくのではなく、「イベントを主催するにあたってこんなニーズ把握を行った・目標設定をした」「サークル内でこんな問題が生じたのでこう解決した」というプロセスの描写に時間・文字数を割くことです。
この点を意識するだけでも、なんとなくキャリアフォーラムに来て語学アピールをする留学生とは一線を画することができるはずです。
ぜひ企業研究とあわせて「求められる力」に即した自己PR作成に力を入れてみてくださいね!
じっさいに、準備が命だというエピソードをひとつ。
年によって上下はありますが、キャリアフォーラム全体での採用率は約50%ほどだと言われています。
ただこれは、2人に1人が採用されるというわけではありません。
しっかり準備した一部の就活生に10件の内定が出るといった事態が起こっているのです。
これはキャリアフォーラムに限ったことではありませんが、本格的に就職を考えているのであれば、少なくとも10社には応募する意気込みでいるのがよいでしょう。
20年秋のボストンはオンラインに(すでに開催中)
…と通常なら上記のようなイベントが開催されるのですが、残念ながらコロナの影響で2020年秋のボストン・キャリアフォーラムはオンラインのみに移行しました。
そして、ほんらい予定されていた数日間の日程のみではなく、期限内ならばいつでも自己PRを企業に送ることができます。
「え、そうなの?」というみなさん、急いでくださいね。
全面オンラインに移行したことには「キャリアフォーラムならではの空気感がなくなった」というデメリットの反面、「登録さえすれば世界中のどこからでも参加できるようになった」という大きなメリットがあります。
期限内ならいつでも自己PRを送れるとはいえ、その企業が募集を締め切った時点で終了となるので、早いに越したことはありません。
企業や著名な講演者によるオンライン・ライブも
に予定されており、見逃し配信もあるので、詳しくはこの公式サイトからチェックしてみてくださいね!
まとめ
留学から就活への流れについて、キャリアフォーラムを中心にまとめてきました。
海外経験は就活で(というかそれ以前に人生で)必ずプラスになりますし、少なくとも、就活の不安のために留学をためらうのはもったいないことが分かってもらえたと思います。
…じゃあいつから動き出せばいいか? 行動するなら、ずばり今日からです!
ちょうどキャリアフォーラムの時期であれば、さっそく参加登録やCFNレジュメ(自己PR)に取りかかりましょう!
また時期でなくとも、自分の強みを考えたり、企業研究をしたり、エピソードを作ったりと「求められる人材」になるためにできる準備はたくさんあります。
データ上もしっかり準備をした人たちほど決まり就職先が決まり安くなっていましたね。
留学している(留学を考えている)利点を最大限活かして、みなさんもぜひ就職を勝ち取ってください!